5月14日

ニューカッスルで迎えた朝は快晴。街の中心部を流れるタイン川沿いには、美しいデザインの橋や建築物が並び、散歩やジョギングには最高で、そんな恵まれたロケーションの中を通勤する地元の方がうらやましく感じました。

 さて、朝一番に訪問したのは、対岸のGateshead側にあるWorkPlace Gallery。元郵便局という建物を利用した内装はむき出しで、いわゆる整えられたホワイトキューブではありませんが、地元を中心とした若手アーティストの作品が多く展示されていました。また、作家の情報リストもかなり充実していて、単なる商業ギャラリーではなく、むしろニューカッスルから発信する同世代の作家たちを応援したいという意気が感じられるスペースでした。

 続いて訪れたのは、BALTIC Centre for Contemporary Artです。館内ではジェニー・ホルツァーの回顧展の真っ最中。総点数は少ないながらも、見応え充分の大規模インスタレーションが楽しめました。その他、奈良美智のドローイングを効果的に使ったワークショップ用のスタジオスペースや、ニューカッスルの街並みを楽しめる展望スペース、充実したショップなど非常にバランスが良いつくり。美術館外壁に順序良く等間隔で並ぶ名物のカモメのライブビデオなど、クオリティの高い企画展と、細やかな気配りの両立がとても居心地のいい空間を作り出していました。

 その後、訪れたのはArts Council England(North East)です。ニューカッスルをエリアとする文化機関で、ちょうど訪れたこの日は、地域全体でギャラリーや美術館を夜間開放するThe Night Showの日。訪問後に、夜の街を歩くと、いわゆる‘学園祭’のノリで、ライブをしたり若者たちがたむろする「居場所」がうまく作られているように感じられました。ニューカッスルには二つの大学があるそうですが、自分たちの場所が街なかや美術館にある、という姿勢を、文化機関がうまく打ち出しているように思いました。日本の美術館はまだまだユース・カルチャーとのつながり方に工夫が必要なようです。

 この日最後に訪れたのは、ニューカッスルを代表する老舗ギャラリーLocus+でした。ディレクターのJon Bewleyは一目で海千山千であることがわかるユニークなキャラクター。ギャラリーや活動の歴史がまとめられた年鑑を見ると、CAMKでも展示したアブラモヴィッチの《Dragon head》が、Jonが関わったニューカッスルのエッジ・フェスティバル90で発表されていたことがわかり、改めてニューカッスルの歴史を作り、見つめてきた人物なのだとしみじみしました。

この日は、前述のNight Showなどを楽しみ、そのままニューカッスルに滞在しました。
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