アジアのキュレーターによる「世界におけるアジア美術」についての公開シンポジウムを開催いたしました。
◎8月25日(土)
基調講演のキム・ソンジョン (ソウル、韓国)さんは都合により、来日できなくなり、キムさんの原稿をもとに、韓国の現代美術のビエンナーレについて南嶌宏館長が報告をしました。なお、キムさんは今年度中にレクチャーを行ってくださる予定で、日程がきまりましたら、HP等でお知らせいたします。

[レポート1] 上海のグ・チェンチン Gu Zhenqing さんは、Zhu Qizhan Art Museumチーフ・キュレーターも務め、現在は中国の現代美術の状況を伝える「Visual Production」(隔月発刊、バイリンガル)のチーフ・エディターです。この10年間の上海、北京の現代美術の興隆は、まず国が、現代美術に対して開放的政策をとったことが第一の理由であること、また海外の評価の高まりによってアーティストが、職業として成り立つようになり、アーティストの活動が安定してきたことを報告してくださいました。

[レポート2] シンガポール・ビエンナーレ総合マネージャーのキー・ホン・ロウ Kee Hong Low さんは、2006年に初めての国際美術展の開催にあたって、市民に現代美術の展覧会、作品に接点をもってもらうための多彩な戦略についての報告でした。さまざまな宗教、文化が混ざりあう、シンガポールの日常的な場所である宗教施設や繁華街に展示した試み、さらに2008年の第二回への展開についてお話くださりました。

◎8月26日(日)
[レポート3] 台北市立美術館チーフ・キュレーターのファン・ウェイ・チャン Fang-Wei CHANG さんは、「台北ビエンナーレ」のこれまでの状況と、「Taipei」と題した展覧会において、出品作家の選定基準や、展覧会のための新しい作品の依頼など、展覧会企画者の在り方について、お話くださいました。

[レポート4] バンコク在住のグリティシア・ガーウィンウォンGridthiya Gaweewong さんは、タイのNPOでの現代美術プロジェクトの経緯や、ベトナムの「サイゴン・オープンシティ」プロジェクトのディレクターとして、国家による統制の状況などについて報告してくださいました。

 最後には、南嶌館長を司会として、シンポジウムが行われ、アイデンティティ、国家の統制、ビエンナーレの意義についての話が展開されました。
 土曜日は4時間、日曜日は5時間にわたる詳しい報告、討議で、アジアのキュレーターが、直面している問題を知る機会となりました。

| ATTITUDE2007 | 08:00 PM | comments (x) | trackback (x) |