展覧会企画学芸員の冨澤が、ただいま開催中の「誉のくまもと」展について講演しました。

展覧会の特徴として、
「開館15周年を記念する展覧会として、熊本市民がテーマや出品作品に親近感を感じるような内容」、
「現代美術館ならではの活動として、コミッションワークを作家に委嘱、初公開の新作として発表すること」、
「館蔵品の活用」を意識して準備を進めたこと、
テーマの選定として、
熊本内外に強い存在感を持つ熊本城や石牟礼道子さん、
県外に強い発信力を持つ生人形、
県内では著名だが県外にほとんど知られていない(ので発信したい)肥後六花などを選定し、この4つのテーマを、コミッションワークとして5人の作家(うち2名は熊本出身)に制作委嘱したことを紹介しながら、講演を開始しました。

講演では、コミッションワークに取り組んだ、石内都さんや寺田克也さん、石川直樹さんの取材風景、今田淳子さんの展示空間、瀧下和之さんの制作エピソードなどを紹介しました。

また継続する生人形研究の成果として、当館収蔵の《相撲生人形》については、歌舞伎役者の見得の表情との一致や、役者たちと生人形の知られざる関係の近さを出品作品を通じて紹介しました。
さらに、市民と行う文化財保存の観点から、出品作品の《馬人形》(宇賀神社蔵)の保全修復のアドバイスをきっかけに、町内・校区が協力して作品を修復した作品の背景などを紹介しました。

最後に、震災直後から展覧会を準備したことで、「災害」にひとりの人間としてどう向き合うか、というテーマで、宮島達男さん、石内都さん、秀島由己男さんの作品から「ひとりひとりの生の証」という観点で作品を読み解きしました。

講演後、たくさんの書き込みのあるアンケートを多数いただきました。
本当にありがとうございました。



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