STANCE or DISTANCE?展のプレママ&ファミリーツアーを開催しました。
今回の展覧会では、絵画、彫刻、写真、映像をはじめ、ロボットや体験型の作品もあります。
会場を入ると、人型アンドロイド「コウカロイド」が展示されています。思わず凝視してしまうような精巧なつくりにお母さんも驚かれていました!

1歳の赤ちゃんも、自らの心音を聞きながら他者に感情移入していく作品「心音移入」を体験しました。映像で流れている様々な場面の人を見ながら、自分の鼓動はどのように聞こえたでしょうか。
ツアー中では、お母さんが赤ちゃんに語りかけながら楽しく鑑賞されている姿が印象的でした


 

| STANCE or DISTANCE?展 | 01:52 PM | comments (x) | trackback (x) |

STANCE or DISTANCE展関連作家の渡邊淳司さんによるワークショップ「自分の顔を探せ!―鏡が映す顔、心が映す顔―」を開催しました。
このワークショップでは、自分の顔のカードを使って、記憶の面白さに迫りました。


先生は渡邊さんと心理学の専門家の上田さんです。
記憶について考えるために、まずは簡単なゲームをしました。
「言葉を15コ覚える」という問題が出されます。次に、簡単な計算をいくつかみんなでやってみて、ちょっと忘れてきた?というころに答え合わせ。言葉を読み上げるとき、さっき入ってた!と思ったら手を挙げていきます。
ある言葉は入っていなかったのですが、何割かの人が手を挙げました。
先生によると「記憶は見たものすべてを覚えているわけではない」とのこと。他と似た、その言葉があったように思えたのは、「つくられる」記憶があるからだとお話がありました。

ここで上田先生に交替し、バートレットの一つの絵を複数の人がリレーして描いていく実験を例に挙げて記憶の曖昧さについて話をした後、「渡邊先生の顔を当ててみましょう」ということになりました。
そういえば、いつの間にか渡邊先生は姿を消しています。
思い出しながら、先生の顔のそれぞれちょっとずつ変えられたカードを順番に見ていき、ワークシートに○×△で自分の予想を描きこんでいきます。
10枚のカードを見ていくうちに、「違いがわからなくなってきた!」と悩む声があがります。
「人の顔を見るとき輪郭までよく見てないんだな」と自分が人の顔を見るときの癖に気が付く場面もありました。


次も同じように、グループのうちの一人が仮面をかぶって、同じグループのメンバーが当ててみます。
初めて会った人も、友達や親子といった親しい間柄でも「うーん」と悩んでしまいます。
グループによっては「目の違いはちょっとでもわかる」という点で共通していたり、鼻の高さの違いは気づきにくいと話す人もいました。

最後には自分の顔写真でやってみます。
「これしかないでしょ」とばっちり当てる人もいたり、
「同じグループの人は全部当てれたのに自分だけわからなかった!」という方も。
「自分の理想の顔をカードにして配っていれば、それでイメージがつくれるね」というアイデアも飛び出しました。


この日3回のワークショップで参加してくださった方は、約35名。
小さなお子さんから、年配の方まで幅広く、ゲーム感覚で記憶の面白さに触れて楽しんでいただきました!

| STANCE or DISTANCE?展 | 11:00 AM | comments (x) | trackback (x) |

10月11日「STANCE or DISTANCE?」展の関連プログラム「金川晋吾《father》上映+アーティスト・トーク」を開催しました。




会場で展示している金川晋吾さん《father》の作品群は、失踪を繰り返す父親が2008年頃に「久しぶりに大きな蒸発」をしたことをきっかけに、社会からドロップアウトするかもしれない状況にある父親をモデルにした作品です。積極的に被写体になっている父親に見えますが、金川さんは「あまりに受動的であるが故に積極的」と言います。



その後、父親は新しい住まいを得て家族の危機的状況は落ち着きますが、金川さんは父親をテーマに作品を撮り続け、しだいに関係性は変化していきます。その中で生まれた55分間にわたる映像《father》を今回のアーティスト・トークでは上映しました。(アーティストトークで上映した映像作品は、展覧会場で上映している《father 2008.12.08》とは別の映像作品です)

この映像作品は、金川さんの《father》が本として出版することになり、父親をテーマにすること、そして父親が撮った約1300枚にのぼる写真もあわせて掲載しても良いか、そして世の中に出すことをどう思うかを確認するために撮影したものです。
本の出版に対して、良いとも悪いとも言わず、また家族問題の核心に触れる失踪に対して、どう思うか尋ねてみても、「覚えてへん(覚えていない)」を繰り返す父親。
しかし、その時期の金川さん自身の日記を読み返すと、自分自身もそんなことがあったのかと思い出す所があり、父親だけでなく自分自身も覚えていなかったのか、と気づかされることもあるそうです。



家族を題材にすることについて、自分のつながっているものを探究するためにおこなう作家もいますが、金川さんは「つながりを求める部分はあるが、コミュニケーションをしているわけではない。」「他者として扱い、自分とは違う存在とどう対峙するか」という視点で、父親と向き合っています。また、色々なことに興味がない父親を写真に撮ることに対して「内面のやりとりを必要としない写真を撮るという行為によって、不毛なやりとりを繰り返さない。」とも語りました。
父親と息子、という立場であっても、それは他者であるという姿勢にたって作品を発表する金川さんは、今展覧会のテーマでもある「隔たり(DISTANCE)があるからこそ人と繋がれる。自分の立ち位置(STANCE)で人との距離がのびたり縮んだりする」というメッセージに共通する、人との距離の取り方の一つの象徴といえるかもしれません。

| STANCE or DISTANCE?展 | 02:00 PM | comments (x) | trackback (x) |

本展出品作家によるアーティストトークを2部形式で行いました。


第1部では、ホームギャラリーにてスライドを交えながら、林智子さんと大野智史さんそれぞれに、過去の作品やこれまでの経緯、出品作品について語って頂きました。

 
自らの作品について語る、林智子さんと大野智史さん。






第2部では会場を展覧会場内に移し、作品を前に作家による作品解説が行われました。


《a day in the life》ついて解説する渡邊淳司さん(左)と安藤英由樹さん(右)


《心音移入》の解説の様子。
体験者が聴診器を自分の心臓をあてると、ヘッドフォンからは自分の心臓の音が聞こえる。
スクリーンの向こうで緊張する他者に、自らの心音を通して感情移入してゆくといった作品。


《Save YourSelf!!!》解説中の様子。



最後に、藤井直敬さんとGRIDER-MANさんによる《The Mirror》の解説・体験が行われました。

(左から)GRIDER-MANのタグチヒトシさんと伊豆牧子さん、藤井直敬さん。


 
ヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンを付けた体験者は、ぐるぐると周囲を見渡す。過去と未来と現在の映像が交錯して、何が現実で、自分がどこに居るのかわからなくなる。
自己と身体のつながりをテーマに、SR(代替現実)技術と体験者自身の自己鏡映像認知能力を組み合わせた、没入体験型の展示作品。

| STANCE or DISTANCE?展 | 02:00 PM | comments (x) | trackback (x) |

「Stance or Distance?」展は10月9日に出品作家をまじえた開会式と記者発表がおこなわれました。

6カ国、17組の研究者やアーティストにご出展いただいた展覧会ですが、今回は6組のアーティストが開会式にご出席されました。


左から、加藤泉さん、伊豆牧子さん(GRINDER-MAN)、タグチヒトシさん(GRINDER-MAN)、藤井直敬さん、金川晋吾さん、渡邊淳司さん、安藤英由樹さん、林智子さん、大野智史さんです。

来賓の方々に、体験をしていただき作家本人より作品の解説がおこなわれました。


林智子さん《Mutsugoto》
遠距離恋愛をテーマに、遠く離れたカップルが光でお互いの存在を確かめ合う作品です。赤いカーテンが幻想的で甘美な世界を演出しています。


写真家の金川晋吾さんは実の父親を写真に撮り続けています。一番身近な家族をテーマに、つながりそうでつながらない、つながらないようでつながっている親子の絆を写真で発表しています。


小泉明郎さんの《若き侍の肖像》。神風特攻隊をテーマにしていますが、その内容は決してシリアスなものにとどまるのではなく、鑑賞者がとまどいを覚えるユーモアが込められています。


塩保朋子さん《thriving》の作品です。「切り絵」や「切り紙」と言われる、伝統的な手法を用いていますが、完成した作品は宇宙や星空を想起させるような壮麗な大作となっています。

12月6日までの開催です。ぜひ皆様足をお運びください。

| STANCE or DISTANCE?展 | 06:00 PM | comments (x) | trackback (x) |
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