段々降りてゆく 九州の地に根を張る8組の表現者<

段々降りてゆく
九州の地に根を張る7組の表現者

2021.3.27()〜 2021.6.13(

本展では、九州を拠点にし、自らの生きる環境に根差した問題意識を持って主体的な活動を行う同時代の表現者7組を紹介する。
九州には、首都圏のように多くの美術館やギャラリーやアートマーケットがあるわけではない。しかし芸術は、そのような芸術インフラが整った大都市の環境の中でしか生まれないものではない。地方にはその地方ごとの芸術の存在の仕方があるはずである。そしてまた九州で生きる作家の価値観や行動原理は、大都市に住む人々のそれに追従する必要はない。必要なのは、自らの問題意識を持ち、自身を取り巻く環境を見つめて応答していくことであり、その先にこそこの土地が独自の文化を持ち、さらに生み出し続けていく可能性があるのではないだろうか?
本展のタイトルは、熊本出身の詩人・谷川雁の詩論の中の一節を参照している。

「段々降りてゆく」よりほかないのだ。飛躍は主観的には生れない。下部へ、下部へ、根へ、根へ、花咲かぬ処へ、暗黒のみちる所へ、そこに万有の母がある。存在の原点がある。初発のエネルギイがある。 ——谷川雁「原点が存在する」1954
自身の存在の核心をなしているものを掴もうと地道な模索を続ける作家の姿勢、あるいは自らのいる環境・状況を見定めた上でそこから自身の表現を立ち上げようとする姿勢を、この「段々降りてゆく」という言葉のイメージに重ねた。
それぞれの場所で展開される作家たちの実践例を通して、九州の環境と状況に即した芸術や表現者のあり方、そして「私たちにとって切実な表現とは何か?」ということを、来場者の皆さんとともに考えられれば幸いである。

出展者

加藤笑平 / すうひゃん。 / 畑直幸 / オレクトロニカ / 宮本華子 / HOTEL ASIA PROJECT / 山内光枝

加藤笑平《mass of roman tic go/ちくご》2018 インスタレーション
photo by Shintaro Yamanaka

加藤笑平

1983年東京生まれ。2005年に熊本県天草へ移住。
自ら農耕・塩づくりを行い生活している。自作の、あるいは身の回りの素材を用いて絵画やインスタレーション、パフォーマンス作品を同時に展開し、相反するものが共存している日常の状態を形にする。天草では「天草在郷美術館」を運営。2020年より長崎県野母崎に拠点を移し、新たなスペースの開設を準備中。

すうひゃん。《リトルメロディ》2016 アクリル、色鉛筆、キャンバス

すうひゃん。

1974年東京生まれ、在日コリアン3世。2011年、家族と宮崎県綾町へ移住。
東京在住時は主に女性像を描いていたが、綾町に移住してからは、現在の自身にとって最もリアリティーのある題材として主に子供を描く。”自身の触れることのできる範囲の子供達”という限定されたモデルを設定し、それぞれに自己を持って生きる子供達を見つめることで、人間というもの、そしてそれを取り巻く現代の社会の状況を描き出すことを試みている。

畑直幸《/g/b//u》2020 写真

畑直幸

1979年生まれ、岐阜出身。オランダで写真を学び、2015年に家族とともに大分県山香へ移住。オブジェや林などの被写体に塗装やライティングといった様々な操作を加えて撮影し、写真の視覚構造をあらわにする実験的作品に取り組む。
別府駅高架下の市場の一角でアートスペース「現実」を運営し、生活空間の中に作品を設置。他地域の作家との共同企画も行っている。

オレクトロニカ×mama!milk《風景への参道》2016 ミクストメディア

オレクトロニカ

加藤亮(1984年生、大分出身)と児玉順平(1984年生、熊本出身)による美術ユニット。2009年結成。
2011年から「制作と生活」をテーマに大分県竹田を拠点に活動を展開。作品制作のみならず、空間デザインや地域に根差した企画のプロデュースなど活動は多岐に渡る。地域や路上といったより生活に近い場所での表現を行う。

宮本華子《出られないから、乗ってみた。》2020

宮本華子

1987年生まれ、熊本出身。2016年よりベルリン在住。自身の制作のほか、故郷の荒尾でレジデンススペース「motomoto」を開き、海外アーティストの招聘も行う。
個人的な経験を出発点に、「家族」や「家」、「他者とのつながり」といった普遍的テーマに対峙する作品を手掛ける。ときに繊細で詩的な形で、ときには大胆なユーモアをもって、新たなコミュニケーションの回路を切り開くことを試みている。

HOTEL ASIA PROJECT
ORGANHAUS(中国・重慶)での展示風景 2018

HOTEL ASIA PROJECT 

北九州のアーティストラン・スペースであるGALLERY SOAPが、2011年からアジア各地のアーティストやキュレーター、研究者等と協働して展開しているプロジェクト。広い視野を持ちながら北九州を含む各地域の歴史的・社会的背景をリサーチし、その考察をもとにアジア各地で展覧会やトーク、音楽など多ジャンルに渡るイベントを開催している。

山内光枝《信号波》2020 映像

山内光枝

1982年福岡生まれ、福岡県糟屋郡在住。
2010年頃に裸の海女が佇む一枚の古い写真と出逢い、それまで抱いていた日本人像や人間像が溶解していくような衝撃を受ける。その後現在にいたるまで、主に黒潮・対馬暖流域の浦々で滞在を重ねながら、海を基点とした人間や世界のあらわれを母胎に表現活動を続けている。
2020年の夏、釜山市での展覧会参加を機に日本統治下の“フザン”に暮らした家族史に向きあい始め、海峡の渡り方、内なる境界の越え方を模索し続けている。

展覧会情報

開催期間

2021年3月27日()~ 2021年6月13日(

会場

熊本市現代美術館 熊本市中央区上通町2-3 びぷれす熊日会館3階

開館時間

10:00 ~ 20:00(展覧会入場は19:30まで)

休館日

火曜日、5月6日(木) (ただし5月4日(火・祝)は開館)

観覧料

一般:
1,100(900)円
シニア(65歳以上):
900(700)円
学生(高校生以上):
600(500)円
中学生以下:
無料

※( )内は前売、20名以上の団体、各種障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳等、付き添いの方1名にも適用)、電車・バス1日乗車券等、JAF会員証、緑のじゅうたんサポーター証をご提示の方にも適用
※美術館友の会証をご提示の方は1回限り割引料金で入場可

チケット取扱い

熊本市現代美術館、イープラス(e+)、ローソンチケット[Lコード:81580]

主催

熊本市現代美術館[熊本市・公益財団法人 熊本市美術文化振興財団]、熊本日日新聞社

助成

一般財団法人地域創造

展示協賛

FLAT LABO

後援

熊本県、熊本県教育委員会、熊本市教育委員会、熊本県文化協会、熊本県美術家連盟、熊本国際観光コンベンション協会、NHK熊本放送局、J:COM、エフエム熊本、FM791

プレスリリース

チラシ