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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

「坂口恭平日記」[ワークショップ]絵の処方箋―鑑賞とデータ測定― 

2023.03.29 ,

3月29日(木)に「坂口恭平日記」の関連イベントとして[ワークショップ]絵の処方箋―鑑賞とデータ測定―を開催しました。

『自分の薬をつくる』や『苦しい時は電話して』といった著書もある坂口恭平は、薬ではなく、音楽や文学・芸術を処方することで、多くの人が健やかに生きることができるようにならないか?といった考えを度々語っています。

このワークショップは参加者の方にご協力いただき、緒方泉教授(九州産業大学地域共創学部教授)による
博物館浴*の研究の一環として、展覧会の鑑賞と科学的なデータの計測をおこないました。

*「博物館浴」:博物館見学を通して、博物館の持つ癒し効果を人々の健康増進・疾病予防に活用する活動


実証実験の内容は作品を鑑賞する前後に、生理測定、心理測定の数値や回答がどのように変化するのか検証するものです。

ワークショップは緒方教授によるガイダンスからはじまり、実証実験の説明後、実際に測定をしていきます。
生理測定は手首に装着する形の計測機器を使用して、血圧と脈拍を2回測定し、平均値を出します。次に心理測定ではPOMS(35問)に回答します。「人付き合いが好きか」などの問に、5段階で回答するものです。

測定後は2班にわかれて「坂口恭平日記」の鑑賞を30分間おこないました。会場への移動は、測定に影響が極力表れないようにエレベーターを使用して移動します。展覧会は「坂口恭平日記」の1エリアを個人で鑑賞しました。


鑑賞後、生理測定と心理測定をおこないました。1回目の測定と2回目の測定を比較してみると、数字や回答に変化がありました。
血圧や脈拍は通常値に近づき、怒りや混乱などの数値は下がりました。

実証実験終了後、緒方教授によるレクチャーがありました。「博物館浴」の効果は鑑賞時間によらず得られること。
海外の「博物館浴」の事例。高齢化社会となっていく日本で、博物館が期待されている役割などについてお話がありました。
最後に参加者の方からの質問を受けてワークショップを終了しました。

 

【参加人数12名】

 

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