人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)の中心メンバーとして活動されている美術家の中ザワヒデキさん、草刈ミカさんをゲストに迎え、第44回AI美芸研「ChatGPTと現代アート:AI美芸研の活動から」を開催しました。
2016年に囲碁AIのAlphaGoが人間のトップ棋士に勝利し、世界に衝撃が走りました。
AI美芸研はこの同年に、「人工知能美学芸術宣言」を掲げて立ち上げられたものです。
その28名の発起人のリストには、熊本市現代美術館 現館長の日比野克彦も名を連ねています。
近年では、生成AI「Midjourney」や対話AI「ChatGPT」といった、大規模言語モデルAIの登場が大きな話題となっていますが、AIはやがてみずから芸術を創造するようになるのでしょうか?
- AI美芸研活動紹介
今回のイベント前半では、AI美芸研がこれまでにおこなってきた研究会、展覧会、演奏会、出版などの多彩な活動をダイジェストで振り返っていただきました。
各企画の背景となった問題意識を語っていただくとともに、そこで出品された作例などもご紹介いただき、AIを巡るさまざまなトピックを行き来しながらトークは進行していきました。
- 中ザワヒデキ講演「人の美意識もAIにハックされるのか?」
後半では、AI美芸研代表の中ザワさんから、テクノロジーをめぐる過去の出来事や議論も参照しながら、AIの発展によってこれから起こり得ることを語っていただきました。
19世紀に写真技術が登場したとき、芸術と芸術家の存在意義は揺さぶられ、同時にそれまでとは別の方向性の創作が生まれることにもなった……のであれば、現在あるいは未来のAIも、それと同等あるいはそれ以上のインパクトをもたらすのでしょうか?
(芸術オワタ、となってしまうのか…)
- 全体討論
その後は、花田伸一さん(キュレーター/佐賀大学准教授)と佐々木玄太郎(当館学芸員)も交えて全体討論の時間に入りました。
そこでは「AIの寿命はどのように決まるのか? AIはどのように「個」でありうるのか? AIのアイデンティティとはどのようなものでありうるか?」「AIが、人間の美学ではなく機械の美学にもとづく“機械芸術”を始めたとしたら、人間はそれが“芸術”であることに気づけるのか?」といったさまざまな話題が飛び交いました。
告知から開催までの時間が短かったにもかかわらず、会場にはAI研究者から作家、学芸員、学生まで多くの方々が集まり、本トピックへの関心の高さが伺えました。
ご来場のみなさん、登壇者のみなさん、ありがとうございました!
[追記]
本イベントの様子がYouTubeにアップされました。
トーク内容は以下から全編視聴可能です。
第44回AI美芸研@熊本市現代美術館
「ChatGPTと現代アート:AI美芸研の活動から」
中ザワヒデキ、草刈ミカ、花田伸一、佐々木玄太郎
https://youtu.be/ib4ZBf2UJa8