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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

「CAMKで考える地域教育のしあさって」を開催しました。

2024.01.27

熊本エデュケーションウィークとは、熊本市教育委員会が主催し「豊かな人生とよりよい社会を創造するために自ら考え主体的に行動できる人を育む」ことについて一緒に考えてみようという9日間。毎年さまざまなプログラムが組まれますが、そのうちのひとつ、「CAMKで考える地域教育のしあさって」を、当館のアートラボマーケットで開催しました。

硬直化しがちな公設公民館と、3年後に廃校になる学校のご用を聞いたそれぞれ4人のよそ者達が現代美術館で合流し、地域の中の学校と、学校の周辺の地域について、一緒に考えてみようというものでした。

はじめにそれぞれのご用とそこで出た意見を聞いてまずびっくり。公設公民館のこれからについても、廃校になる学校についても、登壇者達は「課題を解決する主体は住民」ときっぱり。大学や非営利法人など様々な立場の登壇者は、全国各地の地域に入り込んで、学校やまちづくりなどで活躍されています。彼らは寄り添ったり突き放したり、褒めたり叱ったりしながら、「その地域」の人が本当にやりたいことに気づく手助けをしておられるようで、それは日比野館長と行っている「ご用聞き」とよく似ているな、と思いました。

行政サービスとして「してもらって当然」という依存型の住民ではなく「こうしたい」という地域の人の想いが軸にないと、その地域のウェルビーイングには繋がらない。逆に、地域の未来をどうしたいのか、社会をどうしていきたいのか、そのために学校はどうあるべきか、「その地域」の人達が本気で考えて出た結論は、どんなものでもすばらしいのだと感じました。

人の心を動かすものがアートであるならば、人の心を動かすことばや対話やコミュニケーションもアートです。豊かな人生を送るためには、人と比べたり、常にイベントや旅行にでかけたりするのではなく、自分の身の回りの出来事を面白がる心を持っていること。学校や公民館がなにかを「やってもらう」場ではなく、面白い何かに出会う場であるとすれば、多様な人が行き来する場であったほうが思いも掛けない出会いが生まれるのではないでしょうか。

日常が満ち足りていることこそが豊かであり、そのためには、ささやかな地域の日常に動く心を持ち続ける市民のアート思考がますます重要になります。そのための地域における学校や公民館の役割について、議論を続けていきたいと感じました。

参加者:30名

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