「熊本市研修プログラムDOOR」とは、熊本市役所職員を対象に東京藝術大学が行なっている研修プログラムです。東京藝大でおこなっている人材育成「Diversity on the Arts Project(通称:DOOR)」の取組をベースにして「ケアとアート」をテーマに、アート思考の醸成や共生社会への理解を深める研修を行っています。
今回は、藝大DOORのディレクターでもある当館の日比野館長が講師となり、ワークショップを行いました。12月21日(土)から始まる企画展「LOVEファッション-私を着がえるとき」展の開催に合わせて、テーマは「ファッション」。
前半は、持参してもらった想い出の服(や身につけていたもの)と、それにまつわる思い出やエピソードを元に作成したPOPを美術館のギャラリーに展示。後半は、ひとりひとりが展示した服の想い出やエピソードを披露してもらいました。
自分を表現したくて買った服、普段は無頓着だけど思い入れのある服、忘れられない想い出の服など、それぞれの個人的なエピソードを聞くことで、今までは「ただの服」だったものが世界にたったひとつの貴重な服に、一瞬にして変わりました。同時に、エピソードを語られる皆さんも、一括りの「市職員」ではなく、○○さんという一人の人間として近しく、愛おしくなり、もっと話を聞いてみたいと思いました。また今回は、上乃裏通りで古着屋とセレクトショップを営むcoug(カーグ)の嶌田さんにもおいでいただき、それぞれの服に対するコメントや、人の想いがこもっているからこその古着の魅力もお話しいただきました。
服(もの)が、それに宿る想いによって新たな価値を纏い、見る人の心を動かし、惹き付けるのを見ながら、アートが生まれる瞬間を見ているような気がしました。
この展覧会は、当館の井手宣通記念ギャラリーで1月13日(月・祝)まで開催しています。