熊本市市街地整備課と共催で、田中尚人さん、山下裕子さん、田中一平さんのトークセッションをおこないました。
このトークは、今年3月に策定された熊本市中心市街地ウォーカブルビジョンを市民に広め、みんなで取り組んでいくためのキックオフトークでした。
まずは、熊本大学の土木の先生で、防災、教育、地下水、まちづくりなど、市民とともに幅広い活動に取り組まれている田中尚人さんから、熊本の街には魅力的な場所や人が潜在・点在しており、これらをつなげることが、ウォーカブルビジョンと文化的処方の実現につながるのではないかという問いが、山下裕子さんと田中一平さんに投げかけられました。
熊本市のエリアマネジメントアドバイザーであり、花畑広場をはじめ、全国の広場の立ち上げに関わっておられる山下裕子さんからは、ウォーカブルなまちとは、歩きやすいだけではなく、歩く速度がゆっくりになるようなまちであり、そもそも月曜の夜にたくさんの人が集まる美術館や、まちなかに人が話すために集える場がある熊本にはポテンシャルがあるという話がありました。
一方で、熊本ならではの文化的処方の仕組みをつくるために東京藝術大学から出向してこられた田中一平さんからは、そもそも文化的処方とは何か、社会的処方と何が違うのか、熊本で文化的処方の研究が始まった理由などについて話がありました。
また、それぞれの分野について、田中一平さんからは、「道」そのものが脇道があったり、発見があったり、アートそのものではないか、山下さんからは、社会的処方は人と繫げる処方であり、人が居ないとできないが、文化的処方は一人でも、自らできるようになるものでもあるのではないかという感想が出ました。
途中、グループになっての討議や、グラフィックレコーディコングなども実施し、参加者からは、「目的なく出かけられるまち」という素敵なキーワードも出てきました。
文化的処方の研究は始まったばかりですが、何かと出会った時にそれを観察する力を身につけること、人を観察することによって見える自分をしっかり観察すること。モヤモヤと考えることを楽しむことなど、急ぎすぎず、ゆっくり歩き、じっくりと考えながら生きていくことを楽しむ力を持つ人を増やす、というようなことでしょうか。
これからも皆さんと、熊本をより良くしていくために、熊本ならではの文化的処方の有りようを考えていきたいと思っています。(100名)