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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

…大竹伸朗ビル景展関連イベント「あなたのビル景集めます。」より応募作品をご紹介します…

 

熊本生まれ、熊本育ちの私が初めて「ビル景らしいビル景」を見たのは、進学して東京に出た時の事だった。まだ「平成」という元号がどこか落ち着かない、1990年代半ばのことで、小室サウンドが流れる街には、ルーズソックスの女子高生が闊歩していた。

大学は武蔵野の郊外にあったため、「ビル景らしいビル景」を見るのは、週1-2回、都心でアルバイトをする時のことだった。満員電車から飛び出し、その勢いのまま、国道246号沿いの坂を青山方面に向かってのぼると、バイト先の大型児童館があった。

スタジオの指導員さん、作家やデザイナー、美大生といったバイト仲間と過ごす時間はとても楽しく、帰りに近くのギャラリーをはしごしたのはいい思い出だ。

地上13階建ての児童館のビルの上層階には職員用の食堂があり、そこからは、新宿の高層ビル群が良く見えた。雨の日は滲んだグレーの中にビル群が霞み、晴れた日は美しい青空の中にくっきりと浮かび上がる。東京のビル景は綺麗だと思った。

その風景を眺めながら、いつも定食を食べていた。「美術系に進んだけれど、いったい自分は将来どんな仕事をするんだろうな」とぼんやりと考えていた20歳前後の自分を、東京のビル景を見ると思い出す。

(アッキーさん/女性)

#あなたのビル景集めます。

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