…大竹伸朗ビル景展関連イベント「あなたのビル景集めます。」より応募作品をご紹介します…
熊本交通センターが解体されたとき、あまりの景色の変わりように
思わず隣の立体駐車場の屋上から写真を撮りました。
コンパクトシティと言われる熊本の中心部に、こんな途方もないスケールで
がらんどうの空間が存在していることにリアリティを感じなかったから、と言えば
聞こえはいいのだけれど、実際のところ、右へ倣えをするショベルカーのいかにもな
ポージングのせいもあって、特撮ものにしか見えなかったので思わずシャッターを
切った、というのが真相に近いかもしれません。
既に4月も半ば、桜は葉ばかりになったころ、今まで見えなかった交通センター越しの
新しい景色を眺めては、そこにかつて建っていた建物の輪郭を重ね合わせたりしていました。
街のふところの深さというのは、きっとそのような見えるものと見えないものの積み重なりに
あらわれるはずです。
そう思いながら変わりつつある熊本を歩くとき、そこここの空き地に建つであろう新しい
ビル景を少し楽しみになったりします。
(福岡市在住/男性)