CAMKブログCAMK Blog

美術館の日常のあれこれをお伝えします。

G3 vol.133 高浜寛のマンガに登場するアイテムで読み解く19世紀末展 見どころ②

2020.03.01 , ,

 コロナウイルス感染拡大防止のため、残念ながら当面閉館となりましたので、開催中の展覧会「高浜寛のマンガに登場するアイテムで読み解く19世紀末(ベル・エポック)-『ニュクスの角灯』、『蝶のみちゆき』…」展の再開を待って下さっている皆様に、見どころを担当学芸員がご紹介していきたいと思います(不定期連載)。

今回は『蝶のみちゆき』にフォーカスします。こちらの展示ケースです。
『蝶のみちゆき』単行本表紙原画(出品番号1)と、べっ甲製の櫛や簪(かんざし)、笄(こうがい)(出品番号2-5)などを展示しています。

『蝶のみちゆき』は幕末の長崎が舞台。主人公は絶世の花魁・几帳(きちょう)。その禿(かむろ)として、『ニュクスの角灯』の主要人物たまも登場します(たまは「扇島歳時記」の主人公でもあり、三作品を通して登場します)。
単行本表紙原画の舞台は、長崎のグラバー園にありますオルト邸です。オルト邸といえば、『ニュクスの角灯』5巻で美世ちゃんも訪問していますので、本展でもご紹介しています(出品番号69)。時を超えて同じ場所に佇む二人…。

べっ甲製の櫛(出品番号2)は、かつての持ち主も手に取りしみじみと眺めたであろう装飾の細やかさが魅力です。

なんと本展では、出品されたアイテムひとつひとつにすべて作家直筆の解説カードがあります(Cabinet of Takahamaシリーズで触れたものを除く)。高浜先生が「解説文を2-3行で書こうと思うんです」と提案してくださったので、それだったらぜひ直筆でとお願いしましたら、どれも2-3行どころではありませんでした…!これは、本展の最大のみどころとなりました。

カテゴリ別一覧Categories

月別アーカイブArchive