CAMKブログCAMK Blog

美術館の日常のあれこれをお伝えします。

閉館のお詫びと開館に向けて

2020.03.07

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、全世界的に様々な対策が行われています。
日本で市民生活がこれほど制限されることは例がなく、収束の目処がたたないことに、皆さまも不安な毎日を送られていることと思います。

熊本市現代美術館も、2月29日から当面のあいだ、休館とさせていただいております。
美術館を憩いの場、リフレッシュの場、気づきの場として、ご利用の皆さまにはご不便とご迷惑をお掛けしております。
また、まさに閉館の日に受付を予定していた熊本アートパレードという市民公募の展覧会も中止にせざるを得ませんでした。
この展覧会を目標に作品を作ってこられた方々には、本当に申し訳なく思っています。今回出品予定だった作品については、来年度のアートパレードでの受入にむけて、スタッフが検討しておりますので、改めてお知らせさせていただきます。

私達は、見たことがないものや経験したことがないことに恐怖や戸惑いを感じ、受け入れることに強い抵抗を感じたりしがちです。
新型コロナウイルスにこれほどまでに不安を感じるのも、知らないこと、まだ判らないことが多いせいでしょう。市民生活の制限も相まって、多すぎる情報に更に不安を煽られているようにも感じます。

でも、一方で私達は、知らないことや見たことがないもの、よく見えないものに対する好奇心も持っています。
穴があったら覗いてみたくなる、宇宙人は見てみたい、食べたことのない美味しさを味わってみたい!
アートもまた、知らないことや見たことがないものとの出会いの場でもあります。
自分とはまったく違う(或いはぴったり同じ!)考え方や生き方に出会う、そんなドキドキするような経験を一日も早く皆さまにお届けしたいと願っています。

まだ、美術館開館の目処はたっておりませんが、開催中だった「高浜寛(たかはまかん)のマンガに登場するアイテムで読み解く19世紀末(ベルエポック)展」、また、4月11日(土)から開催予定の「ライフ 生きることは、表現すること」展の情報や裏話等について、今後SNS等で少し丁寧に発信していきたいと思っています。
生きにくい世の中を登場人物と共に生き抜いてきたアンティークにスポットを当てた「高浜寛展」、また、生きることの中心に、支えに、武器に、そして楽しみに「表現する」ことをつづける11組のアーティスト達を紹介する「ライフ」展。いずれも、生きることへの愛おしさを感じる展覧会となっています。
不安が充満しがちな今だからこそ、作家たちのまっすぐな生き様に触れて、少しでも明るく穏やかな気持ちを取り戻していただければ幸いです。

一日も早く新型コロナウイルスの感染が終息に向かい、安心して生活できる春を皆さまとともにお迎えできますよう、心より願っております。

 

熊本市現代美術館 副館長 岩崎千夏

カテゴリ別一覧Categories

月別アーカイブArchive