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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

G3 vol.133 高浜寛のマンガに登場するアイテムで読み解く19世紀末展 見どころ⑪

2020.03.29 , ,

コロナウイルス感染拡大防止のため、残念ながら当面閉館となりましたので、開催中の展覧会「高浜寛のマンガに登場するアイテムで読み解く19世紀末(ベル・エポック)-『ニュクスの角灯』、『蝶のみちゆき』…」展の再開を待って下さっている皆様に、見どころを担当学芸員がご紹介していきたいと思います(不定期連載)。

今回は『ニュクスの角灯』5巻にフォーカスします、こちらのコーナーです。

さて、5巻には美世ちゃんがパリに行く旅路がとても魅力的に描かれています。その様子をより深く読み込みたい方は、こちらの《Cabinet of Takahama 36 原画》(出品番号74)で大まかな航路を確認したあと、《高浜さん作図ワールドマップ(制作メモ兼ねる、年表付き)》(出品番号21)に戻るのがおすすめです。ピアノ演奏の様子(5巻125頁)や、船員が甲板に水を撒いている様子(5巻126頁)が、どのエリアで行われたのかが辿れます。

そしてこちらが、パリでの美世ちゃんの服装再現(等身大)です(出品番号77、78)!
7号サイズのボディなのですが、なんとウエストのボタンが締まりませんでした。当時のパリの若い女性達がどれほど頑張ってコルセットでウエストを絞っていたのか…、ファッションとは!

美世ちゃんのドレス姿についてもうひとつ。着物からワンピースに着替えた場面の原画です(出品番号76)。なぜかこの原画だけ、展示中に紙の反りが強く出て、不思議に思っていたのですが、高浜先生に確認したところ、紙を水に浸して、水彩の染み込みを良くしたとのこと。
5巻の頃は、水彩の色と表情とデジタル作画の組み合わせを色々研究している最中だったそうで、そのため、原画にはこのようなオレンジ色やセピア色での彩色がなされています(出品番号70)。


お知らせです。
なかなか開館への目途が立たず、会期も残り1か月を切ってしまいました。そこで、高浜先生にご出演いただき、公式でYouTubeにて本展みどころを放映することにいたしました。4月中旬頃にアップする予定です、お楽しみに!

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