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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

G3 vol.133 高浜寛のマンガに登場するアイテムで読み解く19世紀末展 見どころ⑫

2020.04.02 , ,

コロナウイルス感染拡大防止のため、残念ながら当面閉館となりましたので、開催中の展覧会「高浜寛のマンガに登場するアイテムで読み解く19世紀末(ベル・エポック)-『ニュクスの角灯』、『蝶のみちゆき』…」展の再開を待って下さっている皆様に、見どころを担当学芸員がご紹介していきたいと思います(不定期連載)。

今回は『ニュクスの角灯』6巻にフォーカスします、こちらのコーナーです。いよいよ『ニュクスの角灯』の最終巻、物語はクライマックスを迎えます。

まずは原画に注目です。6巻は登場人物たちの心の交流が殊更丁寧に描かれているのが特徴ですが、いつもしかめっ面していたジュディットが幸せそうな笑みを浮かべたり、いつも楽しそうにしていたたまが悲しみの表情を浮かべていたり、人の心の複雑さが示されます。原画の衣装の塗り分けが効果的で綺麗ですね…!(出品番号81、83)

さて、たまが悲しそうな顔をしながら驚いて見ているのは、岩爺から渡されたメダイ。これは天草、﨑津より出土した実在する白蝶貝のメダイを参照して描かれています。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺跡」が平成30年に世界文化遺産に登録されたことは皆さまご存知かと思いますが、白蝶貝のメダイは﨑津で製作された特有のもの。本展では16世紀後半~17世紀に制作されたメダイを3点出品しています(すべてレプリカ、﨑津資料館みなと屋蔵)(出品番号84-86)。表面に薄く装飾文様を彫刻した白蝶貝のアンティークのアクセサリーをハワイで見たことがあるのですが、白蝶貝を用いるところに、海の傍で生きる人々ならではの美意識が感じられますね。

高浜先生所蔵のマリア観音も出品しています(出品番号88)。作家による直筆解説カードも読ませます…!

いよいよ次回は連載最終回です!

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