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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

平成28年熊本地震から4年が経ちました。

2020.04.16

平成28年熊本地震から4年が経ちました。
度重なる余震の中で、ライフラインもつながらない生活を続けながら、これから先のことなど想像もできない状況が続いていたことを思い出します。

今年は暖冬で、今春も比較的暖かい日が続きますが、あの年のこの時期はもう少し涼しかったような気がします。
地震後、毎日通勤しながら見る草木の新芽が妙に美しく、ああ自然は巡っていくのだと、しみじみと感じていました。
身近な人にすら手を差しのべることができない自分にも美術館にも、胸が塞がるような気持ちになったこともありました。

それでも私たちは、一日一日をやり過ごしていくことができます。
あれから1年経ち、2年経ち、気がつけばあの地震から4年が経ちました。

今回の新型コロナウイルスは、地域限定ではない、国限定でもない、それこそ全世界を先の見えない不安に陥れています。
今までの災害のように、その場に行って元気づける、人との交流やふれあいによって癒される場を作る、そんな阪神淡路大震災から脈々と続いてきたボランティア活動はできません。
でも、それでも、世界各国で、励まし合う活動が少しずつ生まれてきています。
サッカー選手の皆さんのSNS上のリレーメッセージ、医療や介護の従事者に拍手で感謝の心を伝えるイギリスの人たち、医療現場に身体に良い食べ物を届けるレストランの方々。
人は人のことを思うことで強くなれるのだと思います。
そして、その優しさは広がっていきます。

熊本地震の時、県外からの励ましの言葉や気持ちがどんなに私たちの力になったことでしょう。その優しさを事業に載せて、被災者の皆さんにも伝えたいと思って活動をしていました。
同時に、来館者とスタッフの方が話す機会や、アンケートに想いを綴る方が急増し、その会話やアンケートもまた、私たちスタッフを元気づけてくれるものでした。
近くに居る人と何気ない言葉を交わすだけで、気持ちが落ち着くことも知りました。

熊本地震の後、たくさんの方々が言葉を交わすことで、自らの不安を昇華していたと思います。
自分の不安と折り合うために、誰かの不安を和らげるために、人の気持ちを想いやる優しい気持ちのこもったあらゆる「表現」が世界中に広がって、少しでも多くの方の、新型コロナウイルスによる不安を覆い尽くしてくれますよう願っています。
できればSNSなどの情報が届きにくい人々にも何らかの方法で伝わりますように。

熊本市現代美術館も、現在も休館中です。
辛くないわけではないけれど、熊本地震のように振り返ることができる日が必ず来ます。
この感染拡大を少しでも早く食い止めるためにも、自分自身、身近な人、その先に居る人たちのことを想像して、毎日を過ごしていきましょう。
私たちも、自分達にできることが何かを、日々考え続けています。
本当に大変だったねとお会いできることを、楽しみにしています。

2020(令和2)年4月16日

熊本市現代美術館
副館長 岩崎千夏

 

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