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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

ライフ展連載① フラッグやポスターについて

2020.05.02 ,

美術館の休館中、担当学芸員が綴っていくライフ展ブログ連載①は、フラッグやポスターについてです。

鶴屋百貨店前に立つとバーンと目に入るフラッグ、美術館内では最も重要な広報アイテムとして毎回制作に頭を悩ませています。

今回のように、複数のアーティストが参加する展覧会では「全ての作家の写真を載せたい…!」というのが、担当者の母心。しかし参加者が多いほどカット数も多くなり、結局伝えたいメッセージがぼやけてしまうという難しさも。

そこで、今回は相当悩みつつも、片山真理さん、西本喜美子さんのお二人の参加アーティストに展覧会を代表して登場いただきました。30代と90代、孫とおばあちゃん程の年の差があるお二人ですが、いずれもセルフポートレート作品を撮り、現代アートやコマーシャルなど、それぞれの世界で大活躍されています。

片山さんには「今日も、生きてる?」、西本さんには「バリバリ生きとるよ!」という手書き風のキャッチコピーをつけ、コール&レスポンス(呼びかけ/応答)、色や動きも、白と黒・静と動の対になるイメージとしました。また、熊本発の展覧会ということで、あえて熊本弁を少し入れてみました。

作品のイメージにもう一歩踏み込んでみましょう。よく見ると、片山さんは両足に障害があることがわかりますが、実は、西本さんも加齢により、歩行器が欠かせず、この作品でも電動スクーターを利用しています。お二人とも身体が不自由で、不便も多い。けれども、周囲の人の助けを借りながら、抜群の行動力で、国内外の展示に飛び回っていらっしゃいます。そんな生き方がとっても素敵で、作品を見ると、私も何かやってみたい!というような気にさせられます。

「今日も生きてる?」

「バリバリ生きとるよ!」

コロナの時代では、電話やメール上で、きっとこんな会話が無数に飛び交っていることでしょう。

いつか、現在の状況が収束を迎えた折には、

「バリバリ生きとったよ!」

と皆さんと美術館で再会できる日が来ることを、心から願っています。

 

 

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