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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

ライフ展連載② ATTITUDEからLIFEへ その1

2020.05.04 ,

ライフ展は、そのルーツに「ATTITUDE2002」「ATTITUDE2007」という熊本市現代美術館で行われた2つの

展覧会が存在します。今回はその内容を振り返りながらお話を進めていきたいと思います。

 

熊本市現代美術館は2002年10月12日、「ATTITUDE2002-心の中のたった一つの真実のために」という企画展で

オープンしました。企画者は学芸課長(当時)の故・南嶌宏氏。ジェームズ・タレルやマリーナ・アブラモヴィッチを

始めとする世界12カ国、28名と4グループのアーティストが参加した大規模国際展でしたが、ユニークなのは、お笑い

ユニット「いつもここから」など、いわゆる現代アート以外のジャンルの方も積極的に参加していたことでした。

https://www.camk.jp/old/event/exhibition/attitude/index.html

そのうちのお一人が遠藤邦江さん。遠藤さんは国立ハンセン病療養所菊池恵楓園の入所者ですが、遠藤さんが長らく

大切にしてこられたのが、抱き人形の「太郎君」です。かつて、遺伝性はないにも関わらずハンセン病患者に対して、

堕胎や断種が行われ続けましたが、遠藤さんが自分の子供の代わりに可愛がってきたのが「太郎君」でした。

https://leprosy.jp/people/endo/

展覧会の際、「太郎君」は昼間は展示室に作られたブランコに乗りお客様を迎えますが、夜になると、学芸員に抱っこされて

学芸員室に戻り、布団がわりのバスタオルをかけられて眠りにつきます。そしてまた翌朝、展示室にでかけて、‘啓発’のお仕事を

行いました。

 

その後、遠藤さんの紹介で、菊池恵楓園絵画クラブ金陽会の皆さんと出会うこととなります。金陽会の皆さんは、

療養所生活の中で皆で励ましながら絵を描き、たくさんの作品を残されました。2007年に開催した「ATTITUDE2007 人間の家-

真に歓喜に値するもの」展では、国内外の15のハンセン病療養所で制作された作品を紹介しました。

https://www.camk.jp/old/event/exhibition/attitude2007/index.html

企画者の南嶌氏は、残念ながら2016年にお亡くなりになられましたが、元熊本市現代美術館学芸員の蔵座江美氏が、

ヒューマンライツふくおかの理事として、現在も作品の保存や展示活動を各地で行っています。

ライフ展では、今一度その原点に立ち戻り、蔵座氏の協力を仰ぎながら、金陽会作品の紹介を行います。

 

*「ATTITUDE2002」「ATTITUDE2007」カタログ、記録集「これからのために 菊池恵楓園との8年間」は

熊本市現代美術館ホームページで販売しています。

https://www.camk.jp/about/book/catalog/

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