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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

ライフ展連載④ 藤岡祐機

2020.05.10 ,

藤岡祐機さんとの出会いは、熊本市現代美術館の開館記念展「ATTITUDE2002」への出品がきっかけでした。

当時、熊本養護学校小学部の3年生だった‘ゆうき君’は、何か言葉を発する代わりに、その日見たものや、感じたリズム、空気をのせて、ハサミを走らせていました。具体的なかたちが想像できるものから不定形なものまで、切ったものを並べ、見返す。その一枚一枚に、何らかの思いや考えが込められている事がわかって以降、家族はそのほとんどを捨てずに、分類し、保存しています。あれから18年、休むことなくそれは続いています。

現在の藤岡さんの切り紙は、まず扱いやすいサイズに、コピー用紙や折り紙、チラシ等を切りだすことから始まります。そこに1㎜以下の間隔でハサミを入れていくのです。刃はまるで剃刀のように、紙の表面を削ぐような微細なスナップを効かせて進められることで、縮れた巻き毛のような立体的な美しいウェーブを生みだします。その時、定められた自身のルールに従って形が決まり、日々、少しずつ変化を続けているのです。

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