大山清長《猿》 1998年 油彩、キャンバス 38.0x45.5㎝
大山清長さんほど緑色を美しく使われる方はいらっしゃらないのでは
ないかというくらい、緑色を多用されている作品がほとんどなのですが、
その中でこの作品は緑色が抑えられ、複雑に色が重ねられていて、逆に目を引きます。
岩山の中の倒木を登っている猿が二匹描かれていますが、なんでもないように見えて
実は登りにくいのでしょうか、よく見ると後ろにいる猿が前の猿のしっぽを握っていて、
なんだか微笑ましい場面です。
「ふるさと、奄美に帰る」(2018)で展示した際に、観に来られていた島の人が、
「奄美に猿はいないがなぁ」とおっしゃっていたことがありました。
緑色が少ないのはそのせいかもしれません。
(蔵座江美・ヒューマンライツふくおか理事)