このキリスト像は、かつて熊本市西区島崎にあった、カトリック系の私立ハンセン病
療養所・待労院で描かれていたもので、作者は不明です。
待労院はJ.M.コール神父らによって1898年に創立され、ハンセン病患者や孤児、
生活困窮者らと修道女が信仰に基づき共同生活を送る「聖母ヶ丘」が形成され、
「こうのとりのゆりかご」で知られる慈恵病院も同じルーツにあたります。
待労院は115年に渡って活動し、2013年に閉院しました。
ともに展示した貝は、沖縄県名護市にある沖縄愛楽園入所者の上原ヨシ子さんが、
堕胎させられた子を埋めた浜に通い、拾い集めた続けたものです。ハンセン病自体に
遺伝性はないにもかかわらず、かつて断種や堕胎は、療養所内で行われ続けていました。
2007年に実施した企画展「ATTITUDE2007」では、国内外のハンセン病療養所で
制作された美術作品を調査・展示した事が縁となり、当館に収蔵しました。
それらを担当した当館元学芸員の蔵座江美氏(ヒューマンライツふくおか理事)は、
金陽会作品の調査・展示や作品集の編集など、現在もその活動を継続しています。