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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

ライフ展連載⑩ キリスト像と貝殻

2020.05.17 ,

このキリスト像は、かつて熊本市西区島崎にあった、カトリック系の私立ハンセン病

療養所・待労院で描かれていたもので、作者は不明です。

待労院はJ.M.コール神父らによって1898年に創立され、ハンセン病患者や孤児、

生活困窮者らと修道女が信仰に基づき共同生活を送る「聖母ヶ丘」が形成され、

「こうのとりのゆりかご」で知られる慈恵病院も同じルーツにあたります。

待労院は115年に渡って活動し、2013年に閉院しました。

ともに展示した貝は、沖縄県名護市にある沖縄愛楽園入所者の上原ヨシ子さんが、

堕胎させられた子を埋めた浜に通い、拾い集めた続けたものです。ハンセン病自体に

遺伝性はないにもかかわらず、かつて断種や堕胎は、療養所内で行われ続けていました。

2007年に実施した企画展「ATTITUDE2007」では、国内外のハンセン病療養所で

制作された美術作品を調査・展示した事が縁となり、当館に収蔵しました。

それらを担当した当館元学芸員の蔵座江美氏(ヒューマンライツふくおか理事)は、

金陽会作品の調査・展示や作品集の編集など、現在もその活動を継続しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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