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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

ライフ展連載⑫ 豊橋技術科学大学ICD-LAB「弱いロボット」

2020.05.20 ,

ICD-LABで開発されるのは、自分でゴミを拾うことができず 、誰かに助けを求める《ごみ箱ロボット》や、話そうとした物語の続きを思い出せず人に尋ねる《Talking Bones》など、思わず私たちが手を貸してしまうような「弱いロボット」です。すべてにおいて、強さやパーフェクトさを目指す世の中は、どこか不自然で息苦しいと考えることはありませんか?あえて、内在する弱さや不完全さを隠すことなく、適度に開示しながら、人との関わりを求める「引き算の発想」からこのロボットたちは生まれてきました。

「不便益(ふべんえき)」と呼ばれる、あえて手間をかけるシステムをデザイン するという考え方があります。ユニバーサルデザインの老人ホームの中に、あえて傾斜やデコボコをつけて、自然に筋力トレーニングを促すというような事がその一例です。《ごみ箱ロボット》は、ゴミを拾って入れると、「もこー!」と言いながら軽くお辞儀をします。それを聞きたくて、また思わずゴミを拾ってしまう。人間の感情の機微や情緒といった側面には、私たちがまだ気づいていないユニークな力が眠っているのかもしれません。

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