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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

ライフ展連載⑬  西本喜美子

2020.05.22 ,

熊本の「自撮りおばあちゃん」として全国的に知られる西本喜美子さん。写真を始めたのは、今から約20年前の、72歳の時。息子さんが主宰する写真講座「遊美塾」に通い始めて、Mac講座でパソコンの使い方を学ぶと、自室にスタジオを作り、デジタルカメラで写真を撮って加工するようになります。

喜美子さんを一躍有名にしたのは、いわゆる「自虐系」の作品です。燃やすゴミの袋に入る、自動車にはねられる、鎖でつながれる…、社会が高齢者に対して抱くネガティブなイメージを自ら逆手にとって驚かせ、ユーモアのある笑いを生みだします。いい衣装が手に入れば、動物に天使や魔女、泥棒にコスプレしてみる。パソコンの加工技術を使えば、回転ジャンプや空中浮遊をする「スーパーおばあちゃん」に変身することができるのです。

これらが明るい笑いを生むのは、90年の人生を歩んできたの喜美子さんの、何事も自分流で楽しもうという前向きな個性によるものだではないでしょうか。腰が悪く、歩行には手押し車が欠かせませんが、子や孫ほども年の離れた若い写真の仲間たちと、SNSの反応を楽しみ、展示の機会があれば全国どこへでも出かけていきます。喜美子さんの作品を見ていると、どんな年齢であっても、何かを始めることはできる!ということに気づかせてくれます。

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