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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

ライフ展連載⑭ 坂口恭平

2020.05.23 ,

坂口恭平さんは驚くほど早起きです。まだ暗いうちから、原稿10枚を執筆。橙書店でゲラをチェックする。ギターを自作し、陶芸やガラス、編み物の師に教えを乞う。夕方には、アトリエで絵を4枚。帰宅後、夕食を作って家族と食べ、 9 時には寝る。規則正しく、かつ極めて多忙な毎日です。

坂口さんのこうした「日課」は、12年前に診断を受けた躁鬱病(双極性障害)との付き合いの中から編み出されてきました。躁の時は八面六臂の大活躍をする一方で、鬱の時は、布団から起き上がれず、常に希死念慮に苛まれます。そんな、坂口さんにとっての 躁鬱に対する最大の処方箋は 「創造」することなのだそうです。

それは、大げさなことではなく、「日々の料理を出来るだけ自分の手で作ってみる」ように、日常のどこにでもあると言います。その日課の中で、坂口さんは「自殺者ゼロ」の社会を目指して、死にたい人からの「いのっちの電話」を日々受けています。そこで語られる言葉からは、何度も鬱から生き返ってきた人ならではの、説得力や、温かさ、ユーモア、そして「ともに生きよう」という思いがあふれだしてくるようです。

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