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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

段々降りてゆく展「オープニングトーク」

2021.03.27 ,

本日より、「段々降りてゆく ―九州の地に根を張る7組の表現者」が開幕しました。
九州を拠点にし、自らの生きる環境に根差した問題意識を持って、主体的な活動を行う表現者たちをご紹介する展覧会。
初日は、出展作家7名が出演するオープニングトークが開催されました。

2005年より九州を拠点とし、現在は長崎の野母崎で制作を行う加藤笑平さん。
絵画や様々な素材が同時に展開されている巨大なインスタレーション《Neo Newシン木》について、その前身となる作品から「古いものが積み重なって更新されていくような」イメージで制作されたことをお話してくれました。
また午前中に行われたオープニングパフォーマンスについても、記録写真を見ながら振り返ってくれました。

子どもをモチーフにした絵画を描くすうひゃん。さん。
東京から宮崎へ移住した後の制作の変化や感じたこと、現在子どもたちを描くようになったきっかけを語ってくれました。

周りの影響を受けながら、その環境の中でたくましく生きる子どもたちが今の自分にとって「切実でリアリティのある」存在であるという、とても魅力的なお話でした。

被写体に塗装やライティングなどの操作を加えて撮影し、実験的写真作品に取り組む畑直幸さん。
これまで見たことのあるフェルメールの作品と実物を見た時に感じた❝視覚❞に関する差異のエピソード。
そして、興味深い制作過程や市場という生活空間の中に作られたアートスペースのことが語られました。

熊本出身で、現在、ドイツ在住の宮本華子さんはリモートでご出演。
ドイツに渡ってから、人と一緒に制作をしたことで、より自身の作りたい作品を制作する事ができるようになったそうです。
「家族」や「家」、「他者とのつながり」をテーマにした《出られないから、乗ってみた。》、海へと漕ぎ出す姿が印象的な新作のインスタレーション《出られないから、乗ってみる》。

作品を作り続ける中での気づきと、そこからの新たな展開をお話してくれました。

大分県竹田を拠点に多彩な活動を展開する、加藤亮さんと児玉順平さんによる美術ユニット・オレクトロニカ。
お二人の出会いから、一緒に活動を始めたきっかけ、制作と生活の密接したお話を伺うことができました。

この他、多岐に渡る活動やプロデュース、「骨董品、現代アート、デザイン、建築をいっしょくたに並べるとどう見えるのか」という展示作品の試みを語ってくれました。

 

HOTEL ASIA PROJECTからは、佐々木玄さんが登壇。
同プロジェクトは、2011年に北九州のアーティストラン・スペースであるGALLERY SOAPを一つの軸として立ち上げられ、アジア各地のアーティストやキュレーター、研究者等と協働ながら活動されています。
中国、タイ、台湾など様々な場所で行われてきた活動の概要や、今回の展示テーマのソースとなったディズニーランドのキャッチコピーについて語られました。

福岡在住の山内光枝さんは、写真と映像作品を出展されています。
2010年に、海女が佇む一枚の古い写真に惹かれ、自ら海のある環境に滞在しながらリサーチや制作をされた経験などについて語られました。
最後は、当館の月曜ロードショーで特別上映をする「つれ潮」(2018–19年制作)についてもご紹介いただきました。

「段々降りてゆく ―九州の地に根を張る7組の表現者」の会期は、3月27日(土)~6月13日(日)まで。

アーティスト7組によ表現の実践をぜひ会場でご覧ください!

[スタッフM]

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