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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

体験型シンポジウム「災害時のアートインフラを考える」レポート(前編)

2021.07.01

東京藝大I LOVE YOUプロジェクトと熊本市現代美術館のコラボレーションによる体験型シンポジウム「災害時のアートインフラを考える」を、6月22日(火)熊本市現代美術館からオンライン配信で行いました。

冒頭に日比野克彦新館長が藝大のILOVE YOUプロジェクトと、グラフィック・レコーディングを担当する東京藝術大学大学院生の上川桂南恵さんを紹介。上川さんは、実家のある人吉市で昨年の令和2年7月豪雨に直面し、その体験を元に絵画《川の底の泥が頭の上に来るかもしれない》を制作、茨城県取手市にある大学キャンパス内で発表しました。トークでは、被災体験や作品制作の経緯をお話いただきました。

続いて、下通繁栄会の長江浩史さんにZOOMにて、車いすユーザーとして体験した熊本地震や避難所生活について語っていただきました。日比野館長が城東小の避難所を訪問した際に、マジックペンで段ボールベッドに一つ一つ住所を書いていってくれたこと、それに触発されて、郵便受けを作り始める人などが出てきて、そこから避難所の空気が少しずつ変わっていったそうです。

続いて、天草・丸尾焼の金澤佑哉さんが登壇されました。金澤さんは、弟の宏紀さん、尚宜さんとともに「丸尾三兄弟」として、熊本地震後に「丸尾の食卓」というアートプロジェクトを実施。参加者に一枚器を持ち帰ってもらう代わりに、その器を使っている写真を美術館に送ってもらい展示する、というものでした。集まった300点以上の写真には、それぞれ地震後の思いや生活がつづられ、復興に向かって歩んでいく様子が印象深い内容となりました。

(後編へ続く)

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