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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

旧鹿児島本線を走る蒸気機関車の写真②

2022.03.04 ,

熊本日日新聞に「松橋を走るSLの写真募集」の記事を掲載いただいたところ、松橋出身で芦北町在住のK様から「明治生まれのお母様のアルバムに、永代橋を走る蒸気機関車の写真がありました」とご連絡をいただきました。誠に有難うございます!

お送りいただいたのは、いずれも横8.6×5.4㎝ほどの名刺サイズの写真。

「永代橋附近 汽車ヲ寫ス」と裏に書き込みがありました。おそらく戦前のものでしょうか。左手には腰かけて汽車を見つめる人の姿もあります。中村弘之氏に見ていただいたところ、蒸気機関車は8620形のようです。8620形は1914年(大正3)から29年(昭和4)にかけて687両が製造されたそうです。昨年「無限列車」として話題を呼んだSL人吉が8620形にあたり、現役で運行しています。

こちらには「永代橋ヨリ港町ヲ寫シタ景色です」と書き込みがあります。今ではその面影は少ないですが、かつて松橋町は港町として栄えていたそうです。駅と港が近いことから、多くの人や物の行き来がありました。奥には軒は瓦葺き、その上に藁葺きの屋根をのせた民家も見えます。「仁丹」の文字が大きく書かれた家もあります。汽車の車窓からも良く見えたことでしょう。石積の船着き場の脇にはたくさんの木材があり、そこで作業する人の姿があります。

シスコさんが描くふるさと松橋の風景の中によく登場する蒸気機関車。「私の育った松橋はこがん町だったとよ」と語りかけてくるシスコさんの声が聞こえてくるようです。


塔本シスコ《ウマイレガワ》2001年

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