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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

熊本市現代美術館×熊本県立第二高等学校
坂本夏子トーク
「未知の絵画を探したくて――熊本第二高校を卒業してから20年」

2022.10.26 , , ,

「Our Attitudes」関連イベントとして、出品作家の坂本夏子さんのトークを坂本さんの母校である熊本県立第二高等学校で開催しました。

「未知の絵画を探したくて――熊本第二高校を卒業してから20年」と題した本トークでは、高校、大学、そして現在に至るまでの制作を中心にお話していただきました。
題名にもあるように「未知の絵画を探したくて」作品を作り続けてきた坂本さん。
しかし、高校生の頃から現在のような制作スタイルがあったわけではありません。
受験絵画から自分の作品を作ることになった大学時代の模索の日々。
当時の坂本さんの悩みは「何かを描くということはすでにあるイメージの模倣になってしまう。それを避けるためにはどうすればいいか。」ということ。
悩みに脚を取られ、動けなくなっていたときに作品を1日で仕上げるという講義との出会いや、ユーモアを交えつつも論理的な制作を実践していた恩師との出会いがあったと坂本さんは語ります。
はじめて自分の絵が描けたと思ったのは大学の3年生のときだそうです。

制作する際は下書きをしない坂本さん。しかし、行き当たりばったりに描いていくわけではありません。作品の制作プロセスの中に条件を付けて描いていきます。
例えば、一度描いた場所に再度手を入れない、坂道を表現する際に「斜めのライン」を利用しない、自分の身体の大きさを少しはみ出るサイズのキャンバスに描くなど。
あえて制作する自分自身を困らせるような条件を付けています。
そうすることで、作品がどう仕上がっていくのかの予測不可能性を残し、「未知の絵画」を求めて制作を続けているのだそうです。
作品を制作することは、多様で複雑化する世界の中で、思いもしなかったものと繋がることでもあると坂本さんは語ります。

トークの後には高校生の質問に答えていただきました。
作品の大きさを選択する際の理由や、作品のクオリティを上げる方法など、実際に作品を制作している高校生だからこそ関心の高い質問が出たと思います。
また、全体での質疑応答の後には高校生ひとりひとりの質問や相談にのっていただきました。

好奇心旺盛で、高い向上心を持つ高校生と第一線で活躍するアーティストの交流は遅くまで続き、非常に濃い時間になりました。
20年後には、この場にいた高校生の中からアーティストとして母校に戻り、トークをする人が出てくることを願ってやみません。

【参加数29名】

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