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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

GIII vol. 124「ねじれたライブラリールーム」アーティストトーク&ワークショップ

2018.08.18 , , ,

ギャラリーIIIで開催している小企画展「ねじれたライブラリールーム」の出品作家、松延総司さんによるアーティストトーク&ワークショップを開催しました。

導入では「ねこがねころんだ」と「ふとんがふっとんだ」という二つのダジャレを取り上げ、「ふとんがふっとんだ」はインパクトがあり瞬間的な出来事であるのに対し、「ねこがねころんだ」は当たり前の光景がただあるだけという特徴を指摘。松延さんの美術への関心は、「ねこがねころんだ」のように、当たり前のことへの追究や再定義にあるそうです。

次に、松延さんが制作するうえでキーワードとしている「線」と「影」について、その「削る」ということや「凹み」といった性質についての話がありました。また作品の主要なモチーフとして用いられている輪ゴムについては、「何でも無いもの」としての興味を話されました(参加者には輪ゴムも配られました)。このほかに、出品作品を含む松延さんの作品についても個別に紹介がありました。

会場構成については、「本と人と作品の空間を考える」というシリーズの企画意図に沿って、大きく二つの対比を考えたそうです。

  1. 本との対比
    「Twisted Rubber Band」(輪ゴムの作品)ー文字
    《私の石》(セメント石の作品)ー紙
    《鼻歌》ーストーリー
    →展示空間全体を「本」と捉える
  2. ホームギャラリーとの対比
    「Twisted Rubber Band」(輪ゴムの作品)ー観者、人、身体
    《私の石》(セメント石の作品)ージェームズ・タレル《MILK RUN SKY 2002》
    《鼻歌》ーBGM、ピアノコンサート
    →ホームギャラリーへの提案


▲ねじれたライブラリールーム


▲ホームギャラリー

最後は松延さんの話を受けて質疑応答。特に制作のプロセスに関する質問などがありました。

美術に対する意識から作品の意図にいたるまで、深く掘り下げられた作家自身の思考をじっくり聴きながら考えるアーティストトーク&ワークショップとなりました。

【参加人数20人】


GIII vol. 124 本と人と作品の空間を考える01
ねじれたライブラリールーム
会期:2018年 8月15日(水)–9月17日(月・祝)
会場:熊本市現代美術館 ギャラリーIII *入場無料
出品作家:松延総司

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