「遠距離現在　Universal / Remote」企画者によるオープニングトーク
出品作家の紹介や、社会的なテーマの展覧会を開催することについて話されます。

本展は、パンデミックが始まった2020年からの約3 年間を振り返るためのものである。この3 年間は社会のあり方、人々の暮らしを大きく変え、2023年は決して「前」に戻ったわけではなく、2019年とは異なる。家にこもって、画面越しに伝わってくるニュースから悲しさ、矛盾、不安を覚えていたはずが、今年3月に屋内での事実上のマスク着用義務が解除され、訪日外国人観光客も日々増加している今、私たちの周囲はかつての風景ととてもよく似通っている。だが、どこか違う。「3 年間」の残滓がところどころにこびりつき、視界の隅にそれを認めながらも、日常の中ではそれを忘れていく。日に日に忘却の彼方へ遠ざかる、ほんの少し前のこの3 年間が私たちにとってどのような時期だったのか、社会はいかにして今の姿に至ったのか、今後の私たちはどこに向かうべきかを、現代美術を通して考える展覧会である。
（尹 志慧「遠距離現在 Universal / Remote」展覧会カタログ『遠距離現在 Universal / Remote』p. 6より抜粋）