テオ・ヤンセン展

テオ・ヤンセン展

2021.7.3()〜 2021.9.12(

7月22日(木・祝)以降の土日祝、お盆期間(8月13日~15日)で10:00~17:00に入場を希望される方は事前予約が必要です。

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風を動力源としてオランダの砂浜を疾駆する「ストランド(砂浜)ビースト(生命体)」。ボディ全体は黄色いプラスチックチューブで造形され、物理工学を基盤としたその動きは生き物を思わせるほどに滑らかで有機的です。それらはオランダのアーティスト、テオ・ヤンセン(1948–)によって故国の海面上昇問題を解決するために生み出されました。作者亡き後も自立して砂浜で生き延びることを目指し、ストランドビーストは歩行、方向転換、危険察知などの機能を備え、さまざまな環境に適応していくためのシステムを獲得していきます。生と死を繰り返し、遺伝子と遺伝情報を受け継ぎながら進化し続けてきた生命体は、芸術と科学という既存のカテゴリーを横断し、新たな可能性を私たちに提示しています。
本展では全長10mを超えるストランドビーストを含む10作品以上を紹介。実際に動く様子も体感できます。
実際にビーストが動く「リ・アニメーション」のタイムスケジュールはこちら

テオ・ヤンセン Theo Jansen

1948年、スフェべニンゲン(オランダ)に生まれる。デルフト工科大学にて物理学を専攻し、1975年に画家に転向。1990年、風の力で動く「ストランドビースト」の制作を開始。アートと科学を融合したその作品から「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも称される。

公式ホームページ

主な出品作品

それぞれのストランドビーストには「アニマリス」(英語で動物を意味するanimalとラテン語で海を意味するmareの組み合わせ)というヤンセンの造語から始まる名前がついています。また、進化するビーストはその構造や機能によって分類され、それをもとに時代名がついています。

  • アニマリス・リジデ・プロペランス
    1995年(タピディーム期 1994–1997年)
    2.5×1.6×2.0m
    プロペラを備え、高速で横に歩行できるビースト。
  • アニマリス・ペルシピエーレ・プリムス
    2006年(セレブラム期 2006–2008年)
    10.0×2.0×3.0m
    「知覚する」という意味の「ペルシピエーレ」。水を感知し、方向転換も可能。圧縮空気を溜める機能あり。
  • アニマリス・プラウデンス・ヴェーラ 
    2013年(アウルム期 2013–2015年)
    10.0×6.0×4.0m

    モチーフは大海原を航海する帆船。胴体が連結された構造。
  • アニマリス・ウミナミ
    2017年(ブルハム期 2016年–)
    5.0×4.5×3.0m

    ホーリーナンバーの脚を持たない、前に進む風力を得たキャタピラ型。
  • アニマリス・ムルス 
    2017年(ブルハム期 2016年–)
    13.0×6.0×3.0m

    帆を付けたホーリーナンバー(聖なる数)による脚とキャタピラ型が合体したビースト。二種類の歩行システムが共存している。
  • アニマリス・オムニア・セグンダ 
    2018年(ブルハム期 2016年–)
    10.0×4.0×2.5m

    「オムニア」はラテン語で「すべて」を意味する。進化の過程で生まれた、あらゆる機能を合わせ持つ。

*全て© Theo Jansen

ストランドビーストはどのように動くのか

ストランドビーストは「動く」ことで、その「命」を表現します。ペットボトルの胃袋に溜め込んだ風のエネルギーを使い、ホーリーナンバーと呼ばれる比率で構成された脚を繰り出して、プラスチックチューブの細胞からなる大きな体を前進させます。尾を振って人の注意をひくものもいれば、体を波打たせて砂浜を這うものもいます。感覚器で身の危険を感じれば方向転換し、強風が吹けば転倒防止の杭をハンマーで打ち込みます。ヤンセンが与えたそれらの「動き」こそ、ストランドビーストが生きている証なのです。

歩く

ホーリーナンバーを用いた脚の各部が往復運動や円運動をすることで、ビーストは前進する。上方向に膨らみながら回転する軌跡が、生き物らしいなめらかな動きを生み出している。

3本のプラスチックチューブの組み合わせで構成される先のとがった立体構造は、それぞれの長さを変化させることにより、自在で独特の動きをみせる。

同じ形状のパーツをたくさん並べ、前後と真ん中を固定して縮める。そうすることで砂浜をなめらかに進む、波のような動きを生み出している。

胃袋

帆や羽が風を受けると、ポンプによってペットボトルに空気が圧縮されて溜まっていく。ヤンセンはこのようすを「風を食べる」と表現する。ペットボトルの胃袋を手に入れたことで、エネルギーを貯蔵し、無風時にも動くことができる。

叩く

ビーストは強風を受けると倒れてしまう。それを防ぐ対策のひとつが、杭を砂に打ち込む機能である。一定の強い風を感じると、特別な回路が動き、ハンマーがみずからの体にある杭を砂浜に打ち付け、体の一部を固定する。

神経

太さの異なる2本のチューブをシリンダーとピストンにして、シリンダー内部にバルブ(弁)をつくり、空気を送り込むとバルブが開閉し、それがONとOFFの信号として伝達される。神経組織が組み合わさり脳となる。感知システムはこれによって実現した。

水感知

ビーストの体から地面にたれているウレタンチューブは水を感知するセンサーである。空気が流れていたチューブが水に触れると圧力が変化して、動きが止まる。すると緊急時に機能する「スキーポール」と呼ばれる脚が支えとなり、ビーストは逆方向に移動し、身を守る。

ホーリーナンバー

ストランドビーストの生き物のような動きの秘密は脚にあります。その脚はホーリーナンバー(聖なる数)と名付けられた、一定の比で構成されます。ヤンセンはこの数字にたどり着くまでに1,500以上の組み合わせをコンピュータ上でシミュレーションし、数ヶ月かけて理想的な動きを生み出しました。ホーリーナンバーで構成された脚は滞空時間が長く、それによって生き物らしい動きを実現しています。

パーツ

ストランドビーストの体は脚のほかにもさまざまなパーツで構成されます。カリダム期(1993–1994)より、プラスチックチューブをヒートガンで熱して柔らかくして接合や変形を行うようになり、加工の自由度が増したことで、同じパーツの量産が可能となりました。ヤンセンはこれらの量産できるパーツを遺伝子と呼び、進化とともに、筋肉や神経細胞、脳といった機能のパーツを生み出しました。

展覧会情報

開催期間

2021年7月3日()~ 9月12日(

会場

熊本市現代美術館 ギャラリーⅠ・Ⅱ

開館時間

10:00 ~ 20:00(展覧会入場は19:30まで)

休館日

火曜日

観覧料

一般:
1,300(1,100)円
シニア(65歳以上):
1,000(800)円
学生(高校生以上):
800(600)円
中学生以下:
無料

*( )内は前売券/20名以上の団体/美術館友の会証、各種障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳等、付き添いの方1名も適用)、電車・バス1日乗車券等、JAF会員証、緑のじゅうたんサポーター証をご提示の方は割引が適用されますので、熊本市現代美術館内チケットカウンターでご購入ください。
*前売券は7月2日(金)まで販売

チケット取扱い

熊本市現代美術館、長崎書店、蔦屋書店熊本三年坂、熊日プレイガイド、イープラス(e+)、ローソンチケット[Lコード:82533]、セブン-イレブン[セブンコード:089-556]

主催

テオ・ヤンセン展熊本実行委員会(熊本市現代美術館[熊本市、公益財団法人 熊本市美術文化振興財団]、KKT熊本県民テレビ)、熊本日日新聞社

協力

学研プラス、Media Force

後援

オランダ王国大使館、熊本県、熊本県教育委員会、熊本市教育委員会、熊本県文化協会、熊本県美術家連盟、熊本国際観光コンベンション協会、J:COM、エフエム熊本、FM791

チラシ

プレスリリース

作品リスト

リ・アニメーション タイムスケジュール

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Art Kiss Letter

会場風景

写真:山中慎太郎(Qsyum!)