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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

やなせたかし展・開幕記念ギャラリートークを開催しました

2025.04.26 , , ,

2025年4月26日(土)から「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」が開幕しました。
開幕を記念して初日の26日(土)に、やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団事務局長、学芸員の仙波美由記さんをお招きし、ギャラリーツアーを開催しました。
本展は、やなせの生涯の創作活動を「やなせたかし大解剖」「漫画 人とのつながり」「うたうように生まれる」「絵本とやなせメルヘン」「アンパンマンの誕生」「人生はよろこばせごっこ」のテーマで掘り下げています。

まずは会場入口で出迎えるやなせうさぎの紹介から。やなせたかし記念館アンパンマンミュージアムのある高知では特に知名度が高いようです。やなせの分身でもあるこのキャラクターになぜ「うさぎ」が選ばれたのか、ぜひ会場にてエピソードにご注目ください。1章の「やなせたかし大解剖」では、生涯の活動がわかる年表や、「おとうとものがたり」の原画と共に弟をはじめとする家族との関係性を知ることができます。

高知新聞で働いていた時代は、記者・カット・漫画などの様々な業務を担当し、のちの活動の礎となったそう。上京後の三越百貨店の包装紙の仕事や、広告マンガ「ビールの王様」など、いまのイメージとは異なる作品の数々をご覧いただけます。
漫画作品には「顔のないアイツ」「ボオ氏」など、無名の人や代名詞のない人を主人公にとした作品が形を変えながら登場します。仙波さんは「漫画家として代表作がなく暗中模索するなかで、主人公に自己投影していたのではないか」と語ります。

やなせが30年間手掛けた「詩とメルヘン」の表紙イラストは、絵の中に「男女のペア(デュエット)をいれること」を自身でテーマに設定していたとのこと。原画を鑑賞する際は、ぜひ季節の風景と2人の姿に注目してみてください。やなせは雑誌や詩集を通じ、日常の文化的な質や生活の豊かさが上がることを目指していました。仕事につながるかどうかに関わらず次々と制作するやなせは多作であり、仙波さんは「どれをお見せするかとても悩んだ」と語ります。

4章「絵本とやなせメルヘン」では、絵本「やさしいライオン」の原画を全ページみることができます。絵本=子ども向けのものだと思われがちですが、「やなせメルヘン」はとりわけ子ども向けに書いたものではなく、大人も読者に含まれています。また、内容として実の親子ではない家族の関係性が描かれるなど、やなせの生い立ちの影響が伺えます。

「アンパンマンの誕生」の章では、普段は高知でしかみることができない絵画作品を展示しています。当時70代半ばだったやなせは記念館の開館にあわせ、なんと1年間で50点あまりの絵画作品を描き上げたとのこと。そのほか、アンパンマン作品について「キャラクター数が多いことも魅力。きっと誰もが共鳴できるキャラクターがいるのでは」と話されました。
エピローグでは、お洒落に着飾ることや人を喜ばせることが好きだったことが伺える、衣装や御本人の映像などを展示しています。仙波さんは「若い頃の寂しさ・孤独があったからこそ、晩年の明るさがあったのではないか。本展覧会で皆が少しでも笑顔で会場を後にしてもらえたら」と語りました。

「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」は、6月30日(月)まで開催しています。ミニコンサートや読みがたり、講演会、担当学芸員によるギャラリーツアーなど、展覧会関連イベントも多数開催予定です。
皆さまのご来場お待ちしています。

※掲載写真は記録のため撮影したものです(会場内は一部をのぞいて撮影できません)

■展覧会 関連イベントのご案内
<5月>
・【上映会】「やなせたかし 100 年インタビュー」 5月2日(金)18:00~5月3日(土)10:30~
【ミニコンサート】やなせたかしの歌と絵本の読みがたり 5月6日(火)14:00~15:00
やなせたかしの 絵本の読みがたり・詩の朗読 5月18日(日)14:00~14:30
やなせたかし展・開催記念講演会「光のほうへ ぼくは歩くーーアンパンマンが生まれるまで」 5月24日(土)14:00~15:30

<6月>
【ミニコンサート】やなせメルヘンの世界をうたう 6月1日(日)14:00 ~ 15:00
やなせたかしの 絵本の読みがたり・詩の朗読 6月8日(日)14:00~14:30
・やなせたかし展・ギャラリーツアー 6月14日(土)14:00~14:456月15日(日)14:00~14:45

 

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