GⅢ-Vol.162 しまうちみか 茫茫 / Mika Shimauchi BOU BOU
アーティストトークを開催しました
2025.10.25
2025年 , しまうちみか , 【展示】ギャラリーIII
10月25日(土)から開幕した展覧会「GⅢ-Vol.162 しまうちみか 茫茫 / Mika Shimauchi BOU BOU」の関連イベントとして、アーティストトークを開催しました。しまうちみかさんは熊本出身・宮崎在住のアーティストです。今回の個展では、コロナ禍や青森でのレジデンス、宮崎への拠点を移したことなどの変化を経た数年の新作・近作を展示しています。

前半は、会場内で作品を見ながらギャラリーツアー形式でトークを実施しました。
展示室に入って正面の作品《 we are on the fire 私たちは最高》は、しまうちさんが南九州に引っ越し、来訪神の取材やリサーチを経て制作された作品です。悪石島のボゼや神楽のお面、 映画に登場する生き物やしまうちさんが想像するキャラクター、南国を連想させる樹木などが入り混じって描かれています。「宮崎に来て、南国の植物や景色が鮮やかに映った」と語り、「作品はどのように描き進めていくのですか?」という会場からの質問には、「将棋を指すような感覚」としまうちさん。「ここが決まったら次はここを、動く部分があれば動かして、詰みになったらお終いというイメージ」と話されました。
「遊び場」の意味をもつ立体作品《PLAY GROUND》は、コロナ禍にしまうちさんが出会ったものをテラコッタを用いて形にしたもの。作品が金色である理由を尋ねられると「目立ちたい気持ちがあるのかな」とこぼしつつ、「色々試した中で、造形した時の指の痕跡がしっかり見えるのが金色だった。上手にやりたくないという気持ちがずっとあって、子供が作ったような、誰でもできるようなものが良い」と話されました。

「来訪神ひゃ~たれ」は、南九州でのリサーチを経て、自分でも来訪神を作ろう!と衣装の制作や実践の記録を展示しています。名前にもなっている「ひゃ〜たれ」は熊本弁で「臆病者」「意気地なし」の意味。映像作品では、子どもたちの悪さを諭し、良いところは褒める「ひゃ~たれ」の姿を見ることができます。
後半は、アートラボマーケットに会場を移してトークを実施しました。
学生時代に東日本大震災の現地の状況を受けての制作した作品の話や、熊本地震を経て作品が壊れてしまったが、処分できてホッとした部分もあったという当時の心境を振り返ります。災害やコロナ禍を経たことで美術との向き合い方が変化し、「今は自分が美術に合わせにいくのではなく、美術が私に合わせてくれ!という気持ち」と話されました。

質疑応答では、来訪神リサーチに関する作品に出てくる「ワームホール」という言葉についての質問がありました。青森でのレジデンスを経て南九州に移り、青森と宮崎の言葉が似ていることや、ナマハゲのような来訪神の文化が南九州でも残っていることを知ったしまうちさん。別の地域で見たものが、遠くの地域でも観測されることに不思議な繋がりを感じ、別次元の宇宙空間をつなぐ現象の「ワームホール」に例えました。
自身が美術に対して感じていた「繋がりたい」気持ちや、昨今のSNSでもみられる「繋がりたい」欲望は、時に変な頑張りをしてしまうが、繋がろうとする以前にすでにどこかと繋がっているのではないかという面白み、それゆえ私たちは孤独ではないんじゃないか、としまうちさんは話されました。
「GⅢ-Vol.162しまうちみか 茫茫 / Mika Shimauchi BOU BOU」は2026年1月12日(月・祝)まで開催しています。
皆さまのご来場お待ちしています。