2026年5月16日(土)に、「熊本地震と文化的処方」展の関連企画として、“シンポジウム 日比野克彦さんと語る『熊本地震と文化的処方』”を開催しました。
東京藝術大学学長であり、熊本市現代美術館館長、さらに熊本市文化顧問でもある日比野克彦さんを迎え、本展の出品アーティストとともに、文化芸術が“心の復興”にどのようにつながっていくのかを考える時間となりました。会場の約80席は満席となり、多くの方にご参加いただきました。
冒頭では、美術館とともに本展の企画立案を行った東京藝術大学特任准教授の田中一平さんより、展覧会の趣旨説明が行われました。文化的処方の研究開発や作品制作を主軸に活動してきた田中さんにとって、展覧会全体の空間構成に深く関わる試みは、今回が初めてだったそうです。また、震災を経験していない立場だからこそ、「できる関わり方があるのではないか」、という視点から、展示空間が構成されたことも話されました。
本展では、展覧会タイトルの副題にもある「私の心が動きはじめるとき」と題して、市民の方から震災当時の写真とエピソードを募集しました。大変な状況のなかでも、前向きな気持ちになれた瞬間や、誰かに助けられた記憶など、それぞれの体験が寄せられています。その投稿を代表して、特定非営利活動法人ソナエトコ理事長の水野直樹さんにご登壇いただきました。投稿された写真を見ながら、震災当時の出来事や、その時の思いについて語っていただき、会場全体で耳を傾ける時間となりました。
さらに今回は、出品アーティストが一堂に会する貴重な機会ともなり、熊本地震発生時、それぞれがどのような状況にいたのか、そして震災の経験がどのように制作へとつながっていったのか。日比野さんがインタビュアーとなり、対話を通して一人ひとりの思いや心の揺れや制作について掘り下げられていきました。
震災から10年という時間が流れた今だからこそ、改めて集まり、語り合えることがある。そして、人それぞれの記憶や経験を通して「心が動きはじめる瞬間」を見つめ直す時間となりました。(参加者90名)
