地震10年シンポジウム 「熊本地震からの復旧・復興と地域ミュージアムの役割 -市民の声と共に進めてきたこの10年、そしてこれから-」を開催しました
2026.06.14 ホームギャラリー , 2026年登壇者として、熊本市動植物園長 松本充史さん、熊本県立美術館学芸普及課長 林田龍太さん、熊本県文化課主任学芸員(熊本市から派遣) 竹原明理さん、東海大学総合農学研究所特任教授 荒木朋洋さん、震災ミュージアムKIOKU 統括ディレクター 久保尭之さん、文化財保存修復学会理事長 日髙真吾さんをお招きし、熊本市現代美術館主席審議員兼文化的処方推進室長 岩崎千夏が登壇、冨澤治子(熊本市現代美術館主幹兼主査 学芸員)が司会・進行を行い本シンポジウムを開催いたしました。
最初に、主催者として副館長 坂本顕子がご挨拶いたしました。共催者として、文化財保存修復学会 前理事長 本田光子さんにご挨拶いただきました。
冒頭、本シンポジウムちらしに掲載した当館収蔵作品《Indication-Kumamoto Castle》について、作家の元田久治さん(熊本出身)からのメッセージを紹介しました。 「振り返ってみると、強い思い入れのある場所ほど、時間の経過や変容、あるいは崩壊を想像することに対して、抵抗や罪悪感が生じやすいことに気づかされる。東京の風景を、アニメや漫画のような虚構性を帯びた存在として描くことにはためらいがなかったが、熊本を描く際には、異なる感情が伴った。」という言葉が印象的でした。
前半45分間で登壇者全員によるディスカッションを行いました。 当館内フリーゾーンで、5月中旬より当日まで放映しておりました、熊本在住の登壇者の皆様の事前インタビュー動画には、共通するキーワードがいくつか確認できたため、以下のようなテーマをもとにトークを進めていきました。
・アーティストと災害の記憶との関係
・東日本大震災の記憶と熊本地震の復旧・復興への作用
・復旧に向けての日々:被災したドア(スチール製のドア)
・ミュージアムのスタイル:常設メイン、企画展メイン、リニューアル中、それぞれの現場の違いと思うこと
・ミュージアムの現場の仕事の悩み、新人学芸員として、中堅学芸員として:文化財と被災の現場・無理をする・疲弊する・使命感との折り合い・所有者と文化財関係者とのそれぞれの気持ちと学芸員の立場
・ミュージアムもしくは現場のリーダーの仕事(スタッフの配置とケア、心の余裕)
・平常時・非常時のミュージアムの役割:グラデーション・濃淡はあるが…
・地震の記憶の取り扱い方の多様性をミュージアムとしてどう考えるか:覚えておきたい人もいる・忘れてしまいたい人もいる、アーカイブについて
また、「地震と文化財」をテーマに、市民からの質問「地震を乗り越えて、伝えたいこと」「地震で感じた、大切にしたいこと」が寄せられましたので、登壇者全員にお答えいただきました。それぞれの経験が滲み出るような、多様でそれぞれが心に響くような回答でした。
終了後、登壇者の皆様からも、ご来場いただいた皆様からも、「2時間でも良かったかもですね」と、話したりない・聞き足りないといった言葉が寄せられました。(参加人数:40名)
事前インタビューと本シンポジウムについて、オンライン上での公開を希望する声が多く寄せられたため、これから準備を進めてみたいと思います。
