9月5日(土)の午後、アートラボマーケットで、アーティスト興梠優護さんによるワークショップ「油絵で抽象画を描こう」を開催しました。
7月16日から9月23日までの予定で、興梠さんの展覧会しらぬい 興梠優護 個展 Yugo Kohrogi / Beyond Boundaries が、不知火美術館・図書館で開催されていました。
しかし、不知火美術館・図書館は、今回の地震で大きな被害を受け、当面の間休館せざるを得なくなりました。
興梠さんの個展は中止、作品も被災しました。
今回、本来は不知火美術館・図書館で開催するはずだったワークショップを、縁あって当館で開催していただくことになりました。
時間になると既に申し込まれていた皆さんが来館。
4号の白いカンバスの前に案内された参加者に、興梠さんは具体的な指示は出しません。
どこから絵の具を置き始めるか、描きはじめにもそれぞれの個性がにじみます。
ペインティングナイフや大小の筆、使いかけの油絵の具などを前に、みんな最初は恐る恐るキャンバスに絵の具を載せてみて・・・それからどんどん夢中になっていきました。
細かく厚く色を載せる人、大胆にペインティングナイフで擦る人、絵の具を重ねる人、布でこすり取る人。
油絵の具の柔らかさと厚塗りできる楽しさ。
更に油絵の具はすぐには固まらないので、それを塗った絵の具を拭ったり削ったりして、何度でも盛っては削り、つくっては壊すことができる怖さとなんとなく上手くいったときの喜びがあり、大人の皆さんが絵の具だらけになりながら、イキイキと制作される様子には、心奪われる感覚がありました。
1時間半ほどカンバスに向き合って、小さな抽象画を完成させると、今度は興梠さんが1点1点を温かく講評してくださいました。参加者は自己肯定感に包まれたことでしょう。
興梠さんが、場所を変えてでも今回のワークショップをしたかった理由は、被災の大小にかかわらず、なんとなくみんな我慢しているように見えたからだそうです。
油絵の具の柔らかさと色、盛ったり削ったりできる柔軟性と、○×や優劣のない抽象画の懐の広さは、心が被災している方々が、ひととき、意識を「ここ」ではないどこかへ羽ばたかせるきっかけとして、ぴったりなのかもしれません。(9名)


