…大竹伸朗ビル景展関連イベント「あなたのビル景集めます。」より応募作品をご紹介します…

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お久しぶり。元気してる？
最近全然連絡くれないじゃない。
昔はあんなに好きだと言ってくれてたのに。
仕事が忙しいって言うけれど、私知ってるんだからね。最近、あの新顔と遊んでるってこと。
あっちのほうが実は年上なのに、何年か前に整形してからちょっと綺麗になっちゃって。
でもちゃんと私、お祝いにエールまで送ったのよ？
「私のこと先輩って呼んでもらっていいんだからね」って。

そんな浮ついたことしてても許してあげてたのは、結局私に帰ってくるって知ってたから。
今までだって遊んできてたけど、その度「やっぱお前が一番だな」って私のところに来るんだから。

でももう、私も年なのかなぁ。体のあちこちガタがきてるし、ほら３年前の地震だって結構キツかったんだから。
まぁ昔に比べたらって言われたら何も言い返せないけど、結局若い子のほうが好きなの？
だから日本人はロリコン文化だなんて言われちゃうのよ。

だから私この街を出ていくことにしたの。今更何言われたって無駄よ。今回は本気なんだから。
実家のリフォームが今年完成するから、来年の２月には帰るように決めたの。
今更、お前がいなくなったら寂しいだなんて言われると…切なくなっちゃうけど。
もしかしたら、また帰ってくるかもしれないけど、まだ分からないの。
突然のことで驚かせてごめんなさい。
じゃあね。

熊本パル子より

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こんな手紙が届いたような衝撃的なニュースだった。

熊本からパルコが無くなる。

思い出は確かにあるのに、思えば最後に行ったのはいつだったか覚えていない。
学生時代は嫌というほど足を運んでいたのに、気づいたら遠のいていた。

いつだって失って初めて気づく。
３年前だってそうだった。
あの地震で当たり前と思っていたものが突然無くなって、当たり前なんてこの世には何処にも無いって気づけていたのに。
結局、また同じことを繰り返してしまった。

でもきっとこの手紙には続きがあると思う。

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追伸
まだ帰るまで時間があるし、
だからその前にもう一回…
もし良かったら逢いにきてくれないかな？

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もう一度当たり前は無いことを思い出すために、
そしてあって当然じゃないことを忘れないように、
もしまた忘れてしまっても、忘れてしまったことを大事にできるように。

できる限り、足を運ぼう。
君がそれを教えてくれたんだ。

(熊本市在住／男性）

＃あなたのビル景集めます。