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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

「チェルフィッチュの〈映像演劇〉」
[アフタートーク]誰かと観て話すチェルフィッチュの〈映像演劇〉①

2018.05.03 , , ,

この関連イベントは、〈映像演劇〉とは一体何なのか?誰かと一緒に作品を観てみることで、チェルフィッチュのこの新たな演劇について話してみる企画です。

初回のゲストには、早稲田大学文化構想学部表象・メディア論系に在籍する小田崇仁さんと、熊本県立劇場の嶺浩子さんの二人をお招きしました。

また参加者には、小田さんが熊本高校時代に企画したトークシリーズのゲスト、岡田利規さんと伊藤比呂美さんの二人も特別に加わってくださいました。

ほとんどの参加者が初見だったこともあり、各作品をみんなで観た後に、その場でトークをする流れになりました。まずは、会場入り口の外に置かれたテキストの作品『渚』から。「(以下はあなたに与えられたせりふです。)」という文章から始まるこの作品は、会場に入る前、観客への心構えとして書かれたものだと受け止めたという小田さんの話から始まりました。続いて二つ目のテキスト作品『カーテン』では、読み終えて視線を上げたとき、展示空間が壁(仕切り)のない空間だということを意識したそうです。それは小田さんが自ら観客としての動きと視線、立ち位置に言及した話で、等身大で投影される〈映像演劇〉の基本的な要素とも関係する、重要な感覚に思えました。

そして、アーチ(門)を扱った作品《第四の壁》については、とりわけいくつもの読み解きが繰り広げられました。役者たちのどうでもいい(ように思える)会話のうち、ホウ酸団子の会話にまで言及があり、そこまで読み解いてしまうほどの「何もなさ」というものが、この作品の魅力として語られました。

このような小田さんによる読み解きをベースに、伊藤さんから岡田さんへ、《The Fiction Over the Curtains》における能との関係について質問が飛んだり、嶺さんからは役者の演技に関する疑問が投げかけられるなど、様々なトークが繰り広げられました。

【参加人数18人】

次回の[アフタートーク]のゲストは、古書店 古本タケシマ文庫 店主の菅原龍人さんです。


渚・瞼・カーテン チェルフィッチュの〈映像演劇〉
会期:2018年 4月28日(土)–6月17日(日)
会場:熊本市現代美術館


[アフタートーク] 誰かと観て話すチェルフィッチュの〈映像演劇〉②
ゲスト:菅原龍人(古書店 古本タケシマ文庫 店主)
日時:2018年5月26日(土)10:30-11:30
場所:展覧会会場内 + アートスカイギャラリー
*要展覧会チケット、申込不要

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