最近また、大きな地震があちこちで相次いでいます。
恐い思いをしている方々がたくさん居られると思います。
心よりお見舞い申し上げます。
4月16日は、熊本地震の本震が起きた日です。あの日から6年が経ちました。
熊本のまちなかには地震の痕跡を見かけなくなり、ことさらに地震を思い出すこともなくなりました。熊本城の崩れた石垣はあちこちに積んであって、復興にまだまだ時間が掛かるという事実にも、激しく心を揺さぶられることもなくなりました。
それは私たちの時間が動き出したからであり、悪いことではないのだと思います。
それでもこの時期になると、やはり、あの時のことを思い出します。
辛かったことも思い出すけれど、声を掛け、手を差しのべてくれたたくさんの人達のこと、被災した私たちのことを心配し、想ってくれている人が居るという事実にどんなに救われたかということに、いつもこの時期、想いを馳せます。
それは、どこかで被災したり、大変な状況に陥ったりしている人達に対して、自分には何ができるかを想像することでもあります。
今、新型コロナウイルスの感染拡大から2年以上の時間が経過しましたが、なかなか終わりが見えません。社会情勢も予断を許さない状況です。
でも、人間だけが見も知らぬ人のことを想って心を痛めることができます。
辛い立場にある人のことを想像し、その人達のために行動を起こせる人間だからこそ、この困難な状況を必ず乗り越え、豊かで平和な社会に導いていけるはずだと思います。
熊本市現代美術館は、皆さんとともに地震を乗り越えてきました。
これからも、皆さんとともにコロナと向き合い、ともに泣き、笑いながら一歩一歩進んでいきたいと思っています。
来年の4月16日には、マスクをはずして語り合えることを心から願っています。
2022年4月16日
熊本市現代美術館 副館長 岩崎千夏