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美術館の日常のあれこれをお伝えします。

「チェルフィッチュの〈映像演劇〉」
[ツアー]〈映像演劇〉タネあかしツアー②

2018.05.27 , ,

〈映像演劇〉の不思議な体験の謎を解き明かすタネあかしツアーを行いました。
2回目となる今回も、前回と同様、映像展示の仕組みや、どのように撮影を行ったか、私たち観客が映像の役者をそこに実在している人のように見てしまうのはなぜなのか、といった〈映像演劇〉における技術と思考のタネあかしを行いました。

《楽屋で台本を読む女》はハーフミラーに映像が投影されている作品。鑑賞するスペースの上にあるプロジェクターは字幕用で、映像用のプロジェクターは観客席とは逆側の隠れたスペースに設置してあります。タネあかしツアーでは、普段は通れないプロジェクターの設置スペースである「楽屋裏」を特別に案内しました。

《第四の壁》では、出演している隊長役が「観客のみなさん」と語りかけ、「侵入者を阻止するために土のうを積みます」と作品について丁寧に説明してくれます。前回のタネあかしツアーでは、「《第四の壁》の侵入者とは観客なのですか?」という質問がありましたが、作品を観続けていると、ときたま隊長の厳しい視線を感じ、そのことによって私たちが観客であると同時に、拒まれている侵入者でもあることが汲み取れるということを話しました。

《働き者ではないっぽい3人のポートレート》では、映像の役者が話しているときに、ふと鑑賞者側の私たちが見られている視線を感じるときがあります。映像自体は三連絵画のような3面の設えですが、撮影は一台のカメラで行われておりプロジェクターも一台で投影しています。そのため、3人の役者のカメラ目線は完全に観ている鑑賞者側に集中することになるのです。

撮影やプロジェクション、そのほか展示における演出について制作の裏側を紹介することで、〈映像演劇〉の仕組みを少し明らかにしました。

【参加人数15人】


渚・瞼・カーテン チェルフィッチュの〈映像演劇〉
会期:2018年 4月28日(土)–6月17日(日)
会場:熊本市現代美術館

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